5.解説
(1)問題の所在
請求人が、期限内申告において本件フランス年金を雑所得に含めて確定申告したか否か(注1参照)は措くとして、修正申告において、請求人は、本件フランス年金を公的年金等以外の雑所得に係る総収入金額に算入したとのことなので、公的年金等及び公的年金等以外の雑所得の計算構造[3]を考えると、両者の違いは、(請求人が、公的年金等控除額を全額使い切っていると仮定すれば)公的年金等以外の総収入金額に係る必要経費(本件では、年金受給代行業者に支払った2万2440円)を全額控除できるか否かにあるといえる。ちなみに、令和3年分では、年金受給者が65歳以上で公的年金等の収入金額が330万円以下、かつ、公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額が1千万円以下の場合、公的年金等控除額は110万円とされているので、請求人が同額以上の厚生年金等を受給していれば、本件フランス年金がそのまま雑所得に加算される[4]。本件の問題はこの点に帰着するといえよう。
(2)わが国が締結する社会保障協定と確定申告
2000年2月のドイツとの社会保障協定の締結を皮切りに、本稿執筆現在、わが国と社会保障協定を締結する国は、発効準備中を含め23か国ある(詳しくは、日本年金機構HP[5]を参照)。各国との社会保障協定が締結されたことで、それらの国々に滞在し、各国社会保障制度に加入していた者は、帰国後受給年齢に達したら、当該国から年金を受給する途が拓かれたことになった。しかしながら、わが国の厚生年金等とは異なり、実際に送金されてくる年金は所得税等の源泉徴収の対象とはならないので、本件のように、外国年金受給者は、当該年金について、雑所得として確定申告が義務付けられることになる。
[3] 雑所得の金額は、①公的年金等の収入金額から公的年金等控除額を控除、②公的年金等以外の総収入金額から必要経費を控除、の2種類の方法で算定される(所法35②)。
[4] ただし、公的年金等の収入金額合計が330万円を超えた場合には、公的年金等控除額の計算が異なる(所法35④、措法41の15の3を参照)。
[5] https://www.nenkin.go.jp/service/shaho-kyotei/kunibetsu/20131220-02.html
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