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フリーレント期間のある契約期間内で平準化した賃料を損金算入することは認められないとした事例【法人税・消費税/請求棄却】元国税審判官が解説 公表裁決から学ぶ税務判断のポイント(第21回)

フリーレント期間の定めのある賃貸借契約について、賃料総額を、フリーレント期間を含めた賃貸期間であん分することで平準化された月額賃料相当額を損金算入することは認められないという判断が下されました。

国税不服審判所平成30年6月15日裁決(国税不服審判所HP)

1.事実関係

本件は、審査請求人(請求人)が、事務室用の不動産の賃借に係る賃料(支払賃料)及び当該不動産の一部の転貸に係る賃料(受取賃料)の額について、賃貸借契約又は転貸借契約の定めにより、それぞれの契約期間において支払い又は受け取ることとなる賃料の総額を、当該各契約期間の月数であん分した額を各月額賃料として、法人税等の申告をしたところ、原処分庁が、損金の額又は益金の額に算入される金額は当該契約で定められた各月の賃料の額であるなどとして、法人税等の更正処分等をしたのに対し、請求人が、その処分の一部の取消しを求めた事案である。

請求人が賃貸人G社との間で締結した賃貸借契約(本件賃借契約)の概要は、①契約期間60か月(月額賃料約4150万円)、②中途解約不可、③②にかかわらず請求人が解約した時は、請求人はG社に残存賃貸借期間の賃料相当額を違約金として支払う、④特約として、契約期間の最初の6か月間は月額賃料が約570万円に減額される[1]、というものであった。なお、請求人が別途J社(転借人)との間で締結した転貸借契約の期間及び最初の6か月の賃料の減額の事実は本件賃借契約と全く同様であるため、紙面の都合上、以下の検討は本件賃借契約(支払賃料)に係る部分のみとする。

請求人は、平成28年3月期(本件事業年度)の法人税の確定申告において、上記④の特約期間6か月が本件事業年度に含まれることから、上記①の契約期間の各月額賃料の合計額を60で除して求めた(本件あん分計算方式)金額の6か月分(本件支払賃料計上額)について、本件事業年度の損金に算入した。これに対し、原処分庁は、特約期間の6か月分の月額賃料合計額(本件支払賃料額)を損金算入すべきとした。


[1] 賃貸借契約の最初の数か月分の賃借料を無料にするものをフリーレント契約といい、賃貸人が表面上の賃料の水準を下げることなく賃借人を獲得する手段として慣習的に用いられている。なお本件で請求人は、賃料を減額するものについてもフリーレントという用語を用いている。

2.争点

本件支払賃料計上額は、本件事業年度の損金の額に算入されるか否か(消費税等に係る部分及び転貸契約に係る部分は省略)。

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