5.解説
フリーレント期間の税務上の取扱いについて、本稿では、主として支払賃料の損金算入の側面から検討したが、一般に、フリーレント期間に係る収益計上の考え方には2通りあるといわれている。一つは、フリーレント期間中は収益計上せず、実際に賃料を受領した期間から収益を認識する方法で、もう一つは、本件の請求人の処理のように、賃料総額をフリーレント期間を含む賃貸期間であん分し、賃貸期間全体にわたって収益計上する方法である。しかしながら、後者の方法は、実際に賃料収入がゼロである期間であっても収益を認識しなければならず、賃貸人にとって有利な処理とはいえないため、採用する事業者は少ないものと思われる。本件においても、賃貸人であるG社は本件賃借契約の特約条項どおりに収益計上した(すなわち本件支払賃料額と同額を益金算入した)ことが裁決書に記載されており、このことが審判所の判断に影響した可能性は否定できない。もちろん、本件に限らず、契約の相手方が採用する処理方法について平仄を一致させなければならないとする規定は存在しないが、フリーレント契約について、「当事者間で『月額賃料は賃料総額をフリーレント期間を含む賃貸期間で按分した金額である』と認識するとともに、フリーレント期間に対応する賃料相当額を収益計上している場合には、税務上もその賃料相当額を益金に算入することになる(下線筆者)」としている文献[2]もあるので注意が必要である。
[2] 週刊税務通信No.3338(平成26年12月1日)2頁参照
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