3.請求人の主張

本件支払賃料計上額について、債務確定の判定の3つの要件(法人税基本通達2-2-12)を満たしており、本件賃借契約のように中途解約不能で、中途解約した場合に残存賃貸借期間の賃料を支払うことになっている賃料減額期間のある賃貸借契約の場合、契約時に契約期間全体にわたる賃料総額の支払をすべき義務が確定していると理解すべきであり、契約によって受けている便益は契約期間全体において何ら変わりなく、当事者間の合理的な意思として、単に支払時期を遅らせているにすぎず、経済実態として、当初6か月間の減額された賃料を単なる賃料の値引きと見るのではなく、当初6か月間経過後の月額賃料に含めて支払っていると解するのが妥当であることから、本件あん分計算方式により算出した額に基づく本件支払賃料計上額は、合理的に算定された額であり、契約の相手方である賃貸人の経理処理の選択状況にかかわらず、本件事業年度の損金の額に算入できる。

4.審判所の判断

(1)法令解釈

法人税基本通達2-2-12は、法人税法第22条第3項第2号の償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務が確定しているものとは、別に定めるものを除き、①当該事業年度終了の日までに当該費用に係る債務が成立していること、②当該事業年度終了の日までに当該債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること、③当該事業年度終了の日までにその金額を合理的に算定することができるものであることの要件の全てに該当するものとする旨定めており、同第2号に定める債務確定基準の趣旨から、当該通達の定めは相当である。

(2)当てはめ

請求人は、G社との間で本件賃借契約を締結し、本件事業年度終了の日までに賃借物件の賃料の支払に係る債務が成立し、当該債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生している。そして、本件事業年度終了の日までに賃借物件の賃料として合理的に算定できる金額は、本件賃借契約の特約条項により減額された後の月額賃料の6か月分(本件支払賃料額)であり、これが、賃料として本件事業年度終了の日までに債務が確定した金額であるから、本件事業年度の損金の額に算入される金額は、本件支払賃料計上額ではなく、本件支払賃料額とするのが相当である。

(3)請求人の主張の排斥

本件賃借契約の契約当事者間では、当初6か月間の賃料の減額という法律効果が本件賃借契約(法律行為)に基づき成立し、当事者間の合理的な意思として、単に支払時期を遅らせているにすぎないなどの請求人が主張する事実は認められないから、賃借物件に係る賃料として本件事業年度終了の日までに債務が確定した金額は、本件賃借契約の特約条項により減額された本件支払賃料額である。