4.審判所の判断
(1)法令解釈
本件特例の適用要件のうち連続提出要件について、措置法第41条の15第3項は、「その後において連続して確定申告書を提出している場合」と規定しており、これは、その文理上、先物取引の差金等決済に係る損失の金額が生じた年分についての損失金額計算明細書等の添付のある確定申告書の提出が、当該損失の金額を先物取引に係る雑所得等の計算上控除する年分の確定申告書の提出より先であることを意味するものと解するのが自然である。
加えて、本件特例の適用を受ける年分において控除する先物取引の差金等決済に係る損失の金額について、①措置法第41条の15第1項が、当該年分の前の年分以前において既に控除された当該損失の金額を除いていること、②同項を受けた措置法施行令26条の26第1項1号が、控除する当該損失の金額が前年以前3年内の2以上の年に生じたものである場合には、これらの年のうち最も古い年に生じた当該損失の金額から順次控除するとしていることからすれば、本件特例の適用に際しては、先物取引の差金等決済に係る損失の金額が生じた年分の確定申告書の提出後に、順次その後の年分の確定申告書が提出され、当該損失の金額も順次控除することが予定されているということができる。このことからすると、連続提出要件は、本件特例の適用を受ける年分より前の各年分に生じていた当該損失の金額と本件特例の適用を受ける年分において控除する当該損失の金額とを逐次明らかにさせることにより、税額の計算の安定を確保し、もって租税法律関係の明確化を図る趣旨で規定されていると解される。
次に、損失申告書提出要件について、本件通達規定は、損失申告書提出要件に、先物取引の差金等決済に係る損失の金額が生じた年分の確定申告書に当該損失の金額に関する計算明細書等の添付がない場合において、更正の請求に基づく更正により、新たに当該損失の金額があることとなったときを含む旨規定し、当該要件を緩和している。このような本件通達規定は、損失申告書提出要件の趣旨に沿うものであり、当審判所も相当と認める。
(2)当てはめ
- ①平成23年分損失金額について
請求人は、平成23年分申告書に損失金額計算明細書等を添付していなかった。この場合であっても、更正の請求に基づく更正により先物取引の差金等決済に係る損失金額があることとなったときには、本件通達規定が適用され、損失申告書提出要件を充足することになるところ、平成23年分損失金額については、更正の請求に基づかない先行更正処分によりその金額があることとなったものであるから、本件通達規定が適用されず、損失申告書提出要件を充足していない。
- ②平成24年分損失金額について
上記のとおり、連続提出要件は、先物取引の差金等決済に係る損失の金額が生じた年分についての損失金額計算明細書等の添付のある確定申告書の提出が、当該損失の金額を先物取引に係る雑所得等の計算上控除する年分の確定申告書の提出より先である場合に充足される。しかし、請求人は、損失金額計算明細書等の添付をしていない平成24年分申告書を提出し、平成25年分申告書ないし平成27年分申告書を連続して提出した後に、損失金額計算明細書等の添付のある平成24年分更正請求をしたものであり、損失金額計算明細書等の添付のある平成24年分の確定申告書の提出が、平成25年分申告書ないし平成27年分申告書の提出より先にされていなかったことは明らかであるから、平成24年分損失金額については、平成25年分ないし平成27年分の各年分において連続提出要件が充足されていない。



