【「やむを得ない事情」の実務における具体的対応】

「やむを得ない事情」としては、自己の責めに帰さないとは言い難いような事情も含め、要件に従って電磁的記録の保存を行うための準備を整えることが困難な事情がある場合については、この宥恕措置における「やむを得ない事情」があると認められることとされています(電帳通7-10解説)。「やむを得ない事情」といった場合には、一般的には、自己の責めに帰さない事情をいいますが、今回の改正ではこの文言について、特段の解釈を行っています。
この宥恕措置の適用にあたっては、税務調査等の際に税務職員から確認等があった場合には、各事業者における対応状況や今後の見通しなどを、具体的でなくても良いので適宜お知らせいただければ差し支えないとされており(一問一答(電子取引関係)問41-2解説)、「やむを得ない事情」について広く認められることとされています。

【宥恕措置を適用するための手続】

やむを得ない事情の有無や出力することにより作成された書面の提示又は提出については、必要に応じて税務調査等の際に税務職員から確認することとしており、事前に税務署への申請等を行う必要はないとされています(一問一答(電子取引関係)問41-5)。また、「必要に応じて」確認を行うこととされていることから、必ずしも税務調査の際に確認が行われるとは限らないと考えられます。したがって、宥恕措置の適用にあたって、納税者から税務署長への何らの手続を要することなく、引き続き出力書面による保存が可能となります。