コンビニエンスストア大手「ファミリーマート」(東京・港区)が、東京国税局の税務調査を受け、2021年6月までの複数年で印紙税計約1億3千万円の納付漏れを指摘されたことがわかった。印紙税が課税されるか否かの判断は、請負か委任かで変わってくる。税の専門家でもある税理士も、印紙税については業務範囲とされていない。そのため、国税当局との見解の相違が起きやすい税目なのだ。

ファミリーマートが東京国税局から約1億3千万円の印紙税漏れを指摘されていたことがマスコミ報道された。印紙税漏れは、約1万のフランチャイズチェーン(FC)加盟店との取引に関する約60万件の文書。報道によると過怠税は約1億5千万円が追徴されたとしている。

印紙税は、不動産売買や工事請負の契約書、預金通帳など金銭のやり取りが生じる文書の作成者に課される国税。収入印紙を文書に貼り付け、割り印をし納付が完了する。税額は200~60万円で、文書の種類や契約金額によって異なる。

また、過怠税とは印紙税のペナルティといえるもの。納付しなかった印紙税の額の2倍に相当する金額が徴収される。つまり、過怠税が付くと、納付税額が本来納めるべき印紙税と合わせて、3倍になってしまうのだ。

ただし、自主的に印紙税を納付していない旨を申し出た上で納付する場合は、納付しなかった印紙税の額とその10%に相当する金額を納付することになる。

今回のファミリーマートのケースでは、印紙税漏れが1億3千万円なので、一般的に過怠税が付くと3億9千万円になる。自主的に申し出て納付したのなら、過怠税は10%なので約1億5千万円と万円ということのようだ。

マスコミ報道によると、ファミリーマートはFC各店と交わした文書について、課税対象と認識せず収入印紙を貼っていなかった。各店から受け取る売り上げ相当額を記載していたことから、東京国税局が課税文書に当たると判断したと見られる。印紙税漏れは文書1通につき200円。

印紙税法では、第2号文書(請負に関する契約書)に関して、契約金額に応じた印紙税を課税するとしている。「請負」とは、民法第632条(請負)に規定する請負のこと(印紙税基本通達第2号文書1(請負の意義))。

一方で、委任(準委任を含みます。)を内容とする契約書については、平成元年4月1日以降、課税が廃止されている。