10月の消費増税が秒読み段階だが、納税者側からすると、軽減税率の導入で8%と10%の税率が混在する、なんともややこしい税制になったものだ。一方で、日本に来日した外国人旅行者向けの「TAX FREE」のみやげ品は、一定の要件のもとに消費税が免税される。ご存じだろうか、この免税対象の「非居住者」の概念は、消費税法上と所得税法上では、必ずしも同じではないのだ。

日本政府観光局(JNTO)の発表によると、2018 年の訪日外客数は、前年比 8.7%増の 3119 万人で、JNTO が統計を取り始めた 1964 年 以降、過去最高の記録となっている。2019年に入ってからも、順調に伸びており、1月から7月末までの総計で1962万4800人と前年度比で4.8%増えている。

(資料)2019年7月訪日外客数(JNTO推計値)

訪日観光客が増える中、街中には「TAX FREE」を掲げるお店が増え、観光立国を目指すわが国を、税制面でも側面支援している。

基本的に、輸出物品販売場で購入する物品は、「TAX FREE」と表示されおり、日本に来日した外国人旅行者等の“非居住者”がみやげ品などを買った場合に、国外へ持ち帰ることが目的ならば、その品物は一定の要件のもとに消費税が免除される。

実は、この「TAX FREE」については、外国人旅行者等に海外駐在員で一時帰国する日本人も含まれることをご存じだろうか。海外駐在員としての経験がなければ、こんなこと知らない人のほうが多いと思うが、実は、“消費税法上の非居住者”は、“所得税法上の非居住者”と必ずしも同じではないのだ。

「TAX FREE」が掲示されている輸出物品販売場において、海外駐在員が消費税の免税を受けるためには、 物品を購入する際に旅券を提示して、「輸出免税物品購入記録票」の貼付を受けるとともに、出国の際に国外へ持ち帰ることを記載した「購入誓約書」を輸出物品販売場に提出する必要がある。
輸出物品販売場が旅券に貼付した輸出免税物品購入記録票は、出国の際に税関により回収されるが、店舗により消費税の払戻し手続きが違う場合もあるので注意が必要だ。

また、輸出物品販売場で購入した商品は、日本滞在期間中に開梱して使用しても問題ないとされているが、免税品として専用の梱包をされたものについては、日本を出国するまでは開封してはいけないことになっている。

海外駐在員にとって日本の消費税の免税が受けられるのは大きなメリット。とくに10%の税率アップとなれば尚更だ。消費税の免税は、一般的に、大手の家電量販店などにおけるポイントサービスとの併用はできない。だからこそ、海外駐在員が日本で商品を購入する際は、消費税の免税の適用を受けることの損得をよく考える必要がある。

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