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令和元年度から国税庁が“不良税理士”の取り締まりを強化

課税当局の“不良税理士”の取り締まりが強化されている。税理士登録者が7万5千人を超えてくれば、少なからず不良税理士もいると思われるが、無償独占業務という超優遇資格者だけに、仕事だけでなく人間的にも品位を大事にしてもらいたい。実は課税当局では、令和元年から目標件数を決めて取り締まりに努めているのだ。

税理士の監督官庁の国税庁が、税理士の指導監督強化を打ち出すや否や、課税当局は足元から火が付くことになった。このコラムでも取り上げたが(「国税OB税理士と現職との会合は自粛」)、今年6月29日、東京国税局は、総務部長が緊急に記者会見を開き国民に対して深々と頭を下げた。

この事件は、東京国税局の幹部職員4名が、国税OB税理士、いわゆる先輩から現金計12万円を受け取ったとされるもの。他に職員2人も同じOBから計約1万2千円分の飲食接待を受けたとして厳重注意されている。東京国税局の発表によると、4人は東京国税局管内の税務署で署長や副署長、総務課長の立場にあった2014年2月~17年2月、来署したOBから「確定申告の陣中見舞い」として、1回あたり現金2万~3万円を受け取ったとされる。受け取った現金は、署内で食べる菓子購入などに使ったという。

一般納税者からすると「何かしらの便宜を図ってもらうために行った公務員への賄賂?」と考えがちだが、昔から課税当局の役人と付き合いのある筆者からすると、繁忙期の確定申告前に先輩たちが気を使って「陣中見舞い」を置いていくことも少なくなく、「頑張って確定申告乗り切れ!」との、ほんの気持ちなのだが、これが方や公務員、方や税理士という立場から“利害関係”が問題視され、国税局幹部が陳謝する事態を招いた。

課税当局からすると、実は令和元年度(課税当局の事業年度は7月1日から翌年6月末日まで)から不良税理士の取り締まり強化に乗り出す矢先だった。6月29日記者会見を開いたのも、うがった見方をすれば、新年度が始まる前なら問題のあった幹部に対しては、すでに処分を反映した人事が行われたと国民に対して発表できるわけだし、課税当局もOB税理士であっても厳しく取り締まっていくとのアピールになると考えたのではないか。

一般納税者からすると、信じられないかもしれないが、この数年、“不良税理士”の処分が年間40~50件近くまで増えている。不良税理士に対する処分は国税庁が行い、懲戒処分の種類は、軽い順に「戒告」「業務停止」「業務禁止」(税理士法人の場合は「解散」)となる。
10年前には、懲戒処分者など数名程度だったから、監督官庁である国税庁が税理士に対して厳しく監視していることが一目瞭然だ。

財務省では、平成20年3月31日付けで「税理士・税理士法人に対する懲戒処分等の考え方」を公表しているが、平成27年に内容を改正して同年4月1日以後にした不正行為に係る懲戒処分等に適用している。

これらを受けて令和元年度には「国税庁実績評価実績計画」の中に「税理士専門官による指導監督等事務の割合」という項目が設けられ、税理士の取り締まりが強化された。令和元年度の目標値は60件で、従来の懲戒処分者数などの数値を参考に設定されたようだ。

課税当局がどのように税理士を取り締まるかというと、タレコミや調査によって税理士法違反を見つける。国税庁では、情報収集をはじめ、実際に税理士事務所に臨場し、違反がないかを調べている。一般の税務調査は所得税や法人税の課税漏れを調べるわけだが、これとは別に不良税理士を見つけるために「実態調査」というものを実施する。
実態調査の選定先は、税理士の不良行為などが記載された「情報せんが多数あるもの」「過去に指導実績がる」など、課税当局内部でいくつかの項目がある。

こうした情報収集は、税務調査の立ち合いなどさまざまな場面を利用して収取し、国税総合管理システム(KSK)に保存している。ビッグデータの活用がビジネスの世界でも注目されて久しいが、課税当局では税務調査の効率化とともに不良税理士の取り締まりにも、国税ビッグデータを活用している。

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著者: 宮口貴志

KaikeiZine編集長

税金の専門紙「納税通信」、税理士業界紙「税理士新聞」の元編集長。現在は一般社団法人租税調査研究会の事務局長であり、会計事務所ウオッチャー、TAXジャーナリストとして活動。㈱ZEIKENメディアプラス代表取締役社長。
■税と経営の顧問団租税調査研究会
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