なぜ、その商品やサービスを買ったのか。もしくは、買わなかったのか。
本人もよくわかっていないこの心理を「インサイト」と呼びます。
【儲けのしくみ】ビジネスモデル構築の極意、第51回は「インサイト」です。

冷蔵庫やテレビを買ったとき。

電源が入らなくなった。買ってから10年以上経った。引っ越しするので新しいのが必要だ。

値段が高く、長いスパンで利用する耐久消費財を購入する際には、こうした明確な理由があるものです。

 

一方、なんとなく手にとっていたもの。気がつくと買ってしまっていたもの。

毎朝、通勤のとき買っていた缶コーヒー。ある日気がつくとミネラルウォーターに変えていた。自販機の前に立ち、コーヒーを買おうと思ったその直後、なんとなく違うボタンを押していた。日用品など負担が少ないものを買うとき、こうした状況がよく起こります。

 

この行動の裏側に潜む心理、動機がマーケティング用語の「インサイト」と呼ばれるものです。ポイントは、本人も気づいていないこと。

翻って本人すらよくわかっていないこの気持ちを押さえ、ビジネスに活かすことができれば無敵です。

3種類のインサイト

インサイトには3つの種類があります。

 

  • ・ヒューマンインサイト
  • ・カテゴリーインサイト
  • ・時代背景インサイト

 

1)ヒューマンインサイト

文字通り、人そのものに関わるインサイトです。

自分はどうありたいか。人からどう思われたいか。

願望や怖れ、不安などに基づく心理です。

 

例えば、立ち食いそばや牛丼チェーン。今はかなり解消されましたが、以前は女性ひとりで入りづらいイメージがありました。「あの人、牛丼食べるの?」と思われたくない。

もちろん男性でも同様のことがあります。

例えば化粧品売場。男性の化粧も認知されはじめていますが、それでもなお、どこか躊躇う気持ちが生まれます。

 

2)カテゴリーインサイト

その商品やサービスに対する心象です。

例えば、近年の巣ごもり消費で一躍広がったタブレット。

どうせ買うならiPadにしたい。こんな気持ちの裏側にあるのがカテゴリーインサイトです。

タブレットにかぎらず、流通する商品やサービス、テレビ番組やコンテンツなどに対して、

○○=○○だという特定のイメージを持ち、それを基準にして買うかどうかを決めています。(CMやSNSなど影響があることは言うまでもありません)

 

3)時代背景インサイト

時代の変化によって揺れ動く心理です。

最近であれば、「所有しない」がその1つです。

いわゆるSDGsや環境配慮の広まりによって、必要以上にモノを買ったり、処分したりすることにどこか気持ちが咎められる。お金ももったいないし、買わないほうがエコだ。

市民権を得たシェアリングやサブスクリプションなどはこうした時代背景を見事に押さえたビジネス形態です。