あずさの人材

続いて「AZSA Quality 2021/2022」の「Ⅲ.人材開発」を見ていきます。ここでは(1)プロフェッショナル人材、(2)人材育成、(3)変化への対応力、そして(4)働きやすい職場環境の整備について記載されています。

 

以下、順に見ていきます。

 

(1)プロフェッショナル人材

あずさでは、高品質な監査のもとになるのは人材であり、また昨今の監査には公認会計士のほか、IT専門家、データサイエンティスト、コンサルタント等、会計以外の専門家が不可欠との考えのもと人材の多様性を重視しており、採用においても多様な専門的知見やバックグラウンドを重視しているとのことです。

 

(2)人材育成

あずさの人財育成理念は「法人は、基本理念を実現し、社会の公器としての責務を果たすため、構成員が高品質な業務を提供するにあたって必要な専門知識およびスキルの習得を可能にする環境を組織的に構築・維持し、以て社会に貢献する真のプロフェッショナルを育成する」ことであり、また人材について「真のプロフェッショナルとは、単に専門知識とスキルを兼ね備えるのみではなく、高い倫理観・誠実性と責任感を有し、理解力と論理構成力に基づき問題解決を実現できる人物」と定義しています。

 

そして上記の考えのもと、OJTの充実、Off-JTによる知見等の補完、さらにさまざまなOpportunityの提供により、理念として掲げている人材育成を実現するとしています。

 

①OJT

人材育成の基本であり、実務経験を通じたスキル・能力向上につながるOJTでは、ディスカッション、好事例の紹介、チューター制度などを導入しており、法人および統轄事業部レベルで計画的・持続的なOJTに取り組んでいるとしています。

②Off-JT

Off-JTの人材育成としては、法人および統轄事業部レベルでの実務的・実践的な研修が挙げられています。またキャリアマネージャー制度の強化、1on1コミュニケーションの導入により個々のキャリアの明確化とプロフェッショナルの成長に資する施策を展開していくとのことです。

これらの取り組みの結果、2021年度の1人当たり研修受講時間は67.3時間となり、理解度、達成度等に関するアンケートでは4.5点(5点満点)となっています。

③Opportunity

多様な業務に従事することで知見を広げ、客観性と問題解決力の向上を図るため、統轄事業部内の異なる監査チームへの参加、品質管理部門、アドバイザリー部門への異動、事務所間の異動、公的外部機関や事業会社への出向等を推進しているとしています。

2021年度において、法人内の異動者数は前年比22名増加の403名、出向者数は前年比1名減少の67名となっており、2021年度末の人員数6,173名のうち約8%が異動および出向の対象となっています。

(3)変化への対応力

あずさではレジリエンスを重視する観点から、グローバル化、デジタル化に対応できる人材育成に注力しているとのことであり、具体的な施策は以下のようになっています。

 

①グローバル共通のリーダーシップフレームワークを通じた人材育成

②グローバルスキル研修:国内での英語研修プログラム、海外短期留学、海外KPMGによるニューマネージャー研修 等

③海外派遣プログラム:海外KPMGメンバーファームへの派遣プログラム、KPMG Global Solutions Group / International Standards Group (イギリス) / Department of Professional Practice (アメリカ)への派遣

④次世代リーダー育成プログラム:各国パートナーによるChairman’s 75 Program、地域ごとのChairman’s 25 Program

⑤Global New Partners’ Conference:各国の昇格直後のパートナーによるConference

⑥デジタルリテラシーの向上:デジタル人材育成プログラム「Azsa Digital Academy」の策定、2,500人超を目標とするデジタルマイスターの育成等、プロフェッショナルのデジタルリテラシー向上

 

これらの取り組みの結果、2021年度における海外派遣プログラムの利用人員数は前年比40名減少の186名、パートナーおよびマネージャーに占める海外赴任経験者数はそれぞれ264名(37.5%)、301名(23.9%)となっています。また、TOEIC730点以上等、一定の条件を満たすグローバル対応人材は2,136名、デジタル推進の中核となるデジタルマイスターは723名となっています。

(4)働きやすい職場環境の整備

あずさでは在宅勤務の推進を含む働き方改革、インクルージョン&ダイバーシティの推進、意識調査等を通じて職場環境の整備を行い、監査業務・制度・カルチャーの3つのフレームワークからなる職場改善を進めています。具体的には朝夕会議、カエル会議、在宅勤務の促進等に取り組み、ライフもワークも充実している「あずさワークスタイル」を展開しているとしています。

 

また多様な人材により構成され、それぞれが尊重されるインクルーシブな環境が品質向上や競争力強化につながるとの観点から、以下のような取り組みを行っています。

 

①女性活躍推進の評価指標の設定:女性管理職比率13.4%(2023年までの目標値15%)

②Working Women’s Networkの活動

③フレキシブル・ワーク・プログラム

④定期的な面談を通じたキャリア形成サポート

⑤配偶者等出産休暇の日数および利用対象期間の拡大

⑥VOICE (Valuable Opinions and Ideas to Change Effectively 職員から業務上の課題・要望・改善案を募るツール)

⑦意識調査GPS(Global People Survey) 等

 

女性活躍推進を見てみると、2021年度におけるあずさの女性比率は管理職で13.4%、プロフェッショナルで27.2%となっており、2023年までの目標として管理職比率15%、パートナー比率10%を目指すとしています(*2)。大企業の女性管理職比率5.8%(*3)と比べると、2021年度時点の管理職比率13.4%は比較的高い値になっていますが、目標値15%含めて、政府が目指している30%程度(*4)という数値とはかなり差があります。

またAQIに掲げられているGPSは、より良い組織を目指すための取り組みとして世界各国のKPMGネットワークにおける構成員を対象として行われており、調査結果は全構成員に公表されています。GPSにおいてあずさが重要視する「Engagement Index」(法人への自発的な貢献意欲・満足度)は過去5年で14%増加し、74%になったとしています。

 

さらに、「AZSA Quality 2021/2022」の「Ⅱ.品質管理システム」において年間平均執務時間が公表されています。2021年度の執務時間は全職位平均で2,032時間となっていますが、ここには業務割当のない時間や休憩時間は含まれておらず、拘束されている時間はより長くなると想定されます。職位ごとの内訳は次のようになっています。

パートナー 2,003時間

シニアマネージャー・マネージャー 2,060時間

その他専門職員 2,028時間

 

経営者であるパートナーの執務時間が2,003時間と最も短く、管理職であるシニアマネージャー・マネージャーが最も長い2,060時間となっています。日本経済団体連合会の調査による2019年の総実労働時間2,022時間(管理監督者)、2,000時間(一般労働者)(*5)と比べると、あずさの執務時間はやや長めと考えられます。

(第4回に続く)

 

【参考・出典・引用】

*1 「AZSA Quality 2021/2022」、有限責任あずさ監査法人

*2 有限責任あずさ監査法人ホームページ「女性の活躍推進」

*3 「女性登用に対する企業の意識調査(2021年)」、帝国データバンク、2021年8月16日

*4 「第5次男女共同参画基本計画~すべての女性が輝く令和の社会へ~(令和2年12月25日閣議決定)」、男女共同参画局

*5 「2020年労働時間等実態調査集計結果」(日本経済団体連合会 2020年9月15日)

 


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