4.審判所の判断
- (1)認定事実
審判所の調査及び審理の結果によれば、Lは、M名義預金及び請求人名義預金の通帳及び印章を、口座開設当時から、M又は請求人にそれぞれ引き渡すまで保管しており、請求人名義口座には、口座開設時から平成24年まで、利息を除き、各年に一度の入金以外に入金はないという事実が認められる。
- (2)検討
① 贈与証に基づく贈与の成立の有無について
贈与証は、その記載内容からみて、Gが、平成13年8月以降、本件子らに対して、それぞれ毎年一定の金員を贈与する意思を表明したものと認められる。そして、Lは、Gから贈与証を預かるとともに、Gの依頼により本件子ら名義口座に毎年一定の金員を入金し、さらに請求人名義預金の通帳を請求人に渡すまでの間、管理していた。
ところで、請求人は、請求人名義口座が開設された平成13年当時は未成年であったところ、請求人がGに認知されたのは平成27年4月2日であるから、平成13年8月10日以降、請求人が成年に達するまでの間における請求人の親権者はLのみであった。そして、民法824条《財産の管理及び代表》の規定により、Lは、請求人が成年に達するまでは、請求人の法定代理人として、その財産に関する法律行為についてその子を代表し、その財産を管理する立場にあったと認められる。そうすると、Lは、平成13年当時、請求人の法定代理人として、Gからの贈与証による贈与の申込みを受諾し、その結果、平成13年から平成24年に至るまで、当該贈与契約に基づき、その履行として、Lが管理する請求人名義口座に毎年一定の金員が入金されていたものと認めるのが相当である。
② 請求人名義預金は相続財産か否かについて
請求人名義口座は、平成13年8月10日に開設された後、平成13年ないし平成24年までの各年に一度、Gからの入金が認められるほかは、利息を除き、入金は認められないことから、上記贈与契約の履行のために開設されたものであることは明らかである。また、請求人名義預金の通帳及び印章は、当初から、Lが保管していたものである。そうすると、請求人名義預金は、贈与証に基づく入金が開始された当初から、Lが、請求人の代理人として自らの管理下に置いていたものであり、請求人が成人に達した以降も、その保管状況を変更しなかったにすぎないというべきである。したがって、請求人名義預金は、平成13年の口座開設当初から、請求人に帰属するものと認められるから、相続財産には含まれない。



