インド法人に対して役務提供の対価を支払う場合には、源泉徴収漏れに注意が必要です。インド法人に対する支払では、役務提供がインド国内で行われたとしても、国内源泉所得に該当し源泉徴収が必要となる場合があります。そのため、源泉徴収を失念してしまい、税務調査で指摘されるケースも多く見られます。

<ケース>

当社(日本法人)は、インド企業(日本国内に支店などの恒久的施設はない)にソフトウェア開発に関する技術支援業務を委託し、対価を支払いました。この対価について源泉徴収は必要でしょうか。なお、ソフトウェア開発の技術支援業務はインド国内で行われました。

 

<検討>

ソフトウェア開発に関する技術支援業務は、人的役務提供事業に当たります。この対価について源泉徴収が必要か否かについては、『国内法→租税条約』の順序で検討することとなります。租税条約と所得税法の規定が異なる場合には租税条約の規定が優先されます。

国内法の取り扱い

人的役務の提供事業における国内源泉所得の範囲については、所得税法161条①六で以下のように規定されています。

国内において人的役務の提供を主たる内容とする事業で政令で定めるものを行う者が受ける当該人的役務の提供に係る対価」

すなわち、所得税法161条①六の規定によれば、国内で行われた人的役務の提供事業の対価は国内源泉所得に該当します。よって、日本の企業が海外で役務提供を受けた場合の対価については、国内源泉所得に該当しないこととなります。

このケースでは、役務提供地がインドのため、国内源泉所得には該当しません。