毎年6月から納める住民税は、所得税と一見似ていますが、よくよく見るとかなり違います。誰が課税され、どう税額を計算し、いつ納めるのでしょうか。今回、2回にわたって住民税の基本をお伝えします。

■個人住民税とは?特徴を押さえよう
個人住民税とは、都道府県や市区町村から個人に課される地方税です。次のような特徴があります。
●所得税と住民税の違い
住民税は、所得税と同じ「個人の所得」に課されます。所得や税額の計算の流れも一部所得税と似ています。しかし、まったく同じなわけではありません。次のような違いがあります。
申告納税方式は「納税者が自分で所得と税額を計算して申告・納税を行う方式」、賦課課税方式は「課税する側が所得額と税額を計算して納税者に通知し、納税してもらう方式」を言います。
確定申告で税務署に報告された個々人の所得情報は、後日、市町村(東京都23区は東京都)に転送されます。それを元に各自治体が住民税の課税所得額と税額を再計算し、5月下旬から6月上旬にかけて納税者個人やそれぞれの勤務先に、住民税の決定通知書(納付書)を送付する流れです。なお、年末調整では給与支払報告書で所得や控除の情報を勤務先が市町村に伝えています。
●個人住民税は「行政サービスの財源の柱」
個人住民税には、所得税にない特徴があります。それは「地域の行政サービスに直結している」という点です。
学校教育や医療、福祉や保育といった公的なサービスを担っているのは地方自治体です。こういったサービスにはコストがかかるのですが、個人住民税はこの行政サービスの重要な財源となっています。
「住民税は所得税より所得控除が少ない」「住民税の方が所得税より高い」などと言われますが、日本全国から納付される国税と限定された地域から徴収する地方税とでは、集められる金額に差があります。行政サービスに直結しているからこそ、高くせざるを得ないのかもしれません。
■住民税を納める人と納める時期
ここで、どんな人が住民税を納めなくてはならないのか、またいつ納めるのかを確認しましょう。
- ●納税義務者
個人住民税を納めるのは、次のいずれかになります。
- 1.その年の1月1日時点で地方自治体に住所を有する人
- 2.その年の1月1日時点で地方自治体に家屋敷や事務所などを有する人
1は原則、均等割も所得割も納めます。2は均等割のみ納付します。
- ●課税される所得と納める時期
課税の基準は「前年の所得」です。所得税と同じ所得に課税されます。ただし、納税の時期は所得税と異なるので注意しなくてはなりません。
確定申告で所得税が還付されても使い切らない方がいいでしょう。還付税額を使い切ってしまうと、6月からの住民税の納付で困る可能性が高くなります。