「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」について
コロナ禍に加えて、ウクライナ情勢の影響などにより、原油や穀物などの価格が高騰しています。このような経済環境の変化を受けて、価格高騰により業況が厳しい企業に対する支援の拡充が行われています。
具体的には、価格高騰によって2022年1月以降のいずれかの月の売上高が前年(もしくは2020年または2019年)同月と比べて10%以上減少した事業者には加点措置が行われて、優先的に採択されます。
また、第7回公募では、このような事業者に対する特別枠が設けられる予定になっています。
第4回公募の採択結果と傾向について
第6回公募の申請にあたって、過去の採択結果を確認して、そこから読み取れる傾向を見ておきましょう。第5回公募の採択結果はまだ公表されておりませんので、ここでは第4回公募の採択結果を見ていきます。
全体としては、応募件数は19673件、採択件数は8810件でした。採択率は44.8%です。応募した事業者のうち、4割強が採択されたことが分かります。
通常枠や特別枠の採択結果の内訳は次のとおりです。
応募件数は通常枠が最も多くなっており、採択件数も最も多いのですが、採択率は37.9%となっています。これは全体の採択率よりも低い水準となっています。
次に応募件数が多かったのは、緊急事態宣言特別枠です。これは、緊急事態宣言により業績に影響を受けた事業者を対象にした特別枠です。緊急事態宣言特別枠の採択率は、66.5%でした。通常枠に比べるとかなり高い採択率になっています。
緊急事態宣言特別枠は、通常枠よりも補助率は高いが補助上限額が低くなっており、回復・再生応援枠と似ています。緊急事態宣言特別枠は第6回公募では設けられていませんので、その代わりに回復・再生応援枠が設けられたと言えるでしょう。
また、応募件数は多くありませんが、採択率が最も高いのは最低賃金枠です。2021年度に最低賃金の大幅な引き上げがなされました。この最低賃金の引上げの影響が大きい事業者を対象とした特別枠です。最低賃金枠に申請するには、次のような要件も設けられています。
・3ヵ月以上最低賃金+30円以内で雇用している従業員が全従業員数の10%以上いること。
このように最低賃金に近い賃金水準の従業員が一定いる事業者が対象となっています。最低賃金枠も、回復・再生応援枠と同じように補助率が通常枠より高くなりますが、補助上限額は低くなります。
最低賃金枠では採択率が74.2%となっており、通常枠と比べると2倍ほどの採択率になりました。
この傾向を踏まえると、通常枠で申請するよりも、回復・再生応援枠や最低賃金枠で申請した方が採択される可能性がかなり高くなると考えられます。
これらの特別枠は補助上限額が通常枠より低くなります(従業員数によるが最大で1500万円)ので、事業への投資規模が合えばこれらの特別枠で申請する方がよいでしょう。
さらに、第6回公募では、「最低賃金枠は、加点措置を行い、回復・再生応援枠に比べて採択率において優遇される」と公募要領に明記されています。そのため、最低賃金枠で申請すると、採択可能性がより高まります。
ただし、これらの特別枠で申請するには、単月の売上高が前年同月比などで30%以上減少しているといった要件を満たしていなければなりません。また、最低賃金枠では、前述のように現行の賃金水準に関する要件がありますので、申請にあたっては要件を満たしているかしっかり確認しましょう。