来年10月にスタートするインボイス制度。これに関し、日税連が新たな提案を行いました。どんな内容なのでしょうか。また、実現したらどういう影響が生じるのでしょうか。※6月17日 本文、タイトル一部変更しました。

■日税連がインボイス制度に関する提案書を発表
日税連は先日6日、インボイス制度の円滑な導入や実施に関する提案書をサイト内で公開しました。提案内容は次の2つです。
【参考】インボイス制度の円滑な導入・実施について(日本税理士連合会)
1つ目の「80%控除」は、経過措置の一つです。インボイス制度が始まると免税事業者からの課税仕入れは仕入税額控除ができなくなります。しかし、免税事業者の負担への配慮から、次のような緩和措置が設けられました。
【引用元】消費税軽減税率制度の手引き令和3年8月版(国税庁)
日税連は、「80%控除可能」な期間を「2026年(令和8年)9月30日まででなく、もう少し長く続けよ」と言っているのです。
2つ目の「3万円未満の支払は帳簿保存のみでよい」は、現行の制度です。現在、1回の取引での支払額が税込で3万円未満なら、一定事項を記載した帳簿さえ保存すれば仕入税額控除できることとなっています。
しかし、インボイス制度が始まったら3万円未満でも帳簿だけでなく登録番号など所定事項が記載された適格請求書(インボイス)を保管しなくてはなりません。帳簿保存だけで仕入税額控除できるのは、次の支払のみです。
【引用元】消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A(国税庁)
現実の少額取引を考えると、適格請求書がもらえるとは限りません。銀行の振込手数料のように、通帳に総額が記載されるだけのケースもあります。「どのような場面でも適格請求書をもらって保存」には無理があるのです。
日税連は、このような状況を鑑みたのか「取引の内容に関係なく、これまで通り『支払額3万円未満なら帳簿保存だけでよい』とすべし」と提案しています。