2022年度の4大監査法人ランキング。前編では有限責任監査法人トーマツ(以下トーマツ)、有限責任あずさ監査法人(以下あずさ)、有限責任EY新日本監査法人(以下新日本)及び有限責任PwCあらた監査法人(以下あらた)の売上や利益を見ていきました。後編ではクライアント数、人員数を見ていきます。
2.クライアント数ランキング
まずは監査業務のクライアント数です。
(1) 監査クライアント
トーマツ | あずさ | 新日本 | あらた | |
金商法・会社法監査 | 840 | 724 | 865 | 142 |
金商法監査 | 12 | 30 | 53 | 51 |
会社法監査 | 1,097 | 1,351 | 1,247 | 439 |
学校法人監査 | 62 | 41 | 79 | 1 |
労働組合監査 | 24 | 13 | 7 | – |
その他の法定監査 | 559 | 588 | 723 | 234 |
その他の任意監査 | 650 | 735 | 761 | 290 |
合計 | 3,244 | 3,482 | 3,735 | 1,157 |
うち、大企業等 | 1,111 | 1,012 | 1,163 | 258 |
ⅰ.監査クライアント合計
2021年度 | 2022年度 | 増減 | 増減率 | |
トーマツ | 3,232 | 3,244 | 12 | 0% |
あずさ | 3,638 | 3,482 | △156 | △4% |
新日本 | 3,681 | 3,735 | 54 | 1% |
あらた | 1,158 | 1,157 | △1 | △0% |
監査クライアントの合計では、3,735社の新日本が1位となっています。
監査業務においては、業務収入に加えクライアント数でも新日本がトップです。
それに続くのが3,482社のあずさ、そして監査収入2位のトーマツが3,244社で3位となり、4位が1,157社のあらたとなっています。
1位の新日本は2021年度に引き続き首位となっており、また前期比+54社(+1%)とクライアントを増やしています。
2位あずさは前期の3,638社から156社減(△4%)と大きく減らしたことで、新日本との差は前期の43社から253社へと拡大しています。
3位のトーマツ、4位のあらたは前期から大きな変動はありません。
ⅱ.金商法・会社法監査
2021年度 | 2022年度 | 増減 | 増減率 | |
トーマツ | 880 | 840 | △40 | △5% |
あずさ | 782 | 724 | △58 | △7% |
新日本 | 901 | 865 | △36 | △4% |
あらた | 145 | 142 | △3 | △2% |
金融商品取引法及び会社法に基づく監査クライアント数を見てみると、1位は865社の新日本であり、前年度に引き続き首位となっているものの、前期比36社減少(△4%)です。
2位には840社でトーマツがつけており、こちらは前期比40社減(△5%)となっています。
3位はあずさで724社となり、前期比58社減(△7%)と減少幅は最大となっています。
そして4位が142社のあらたで、前期比3社減(△2%)と微減です。
上場企業を中心とする金商法・会社法監査クライアント数は4法人いずれも減少しており、あずさの58社減をはじめ、トーマツ40社減、新日本36社減、あらた3社減となっています。
ⅲ.その他
トーマツ | あずさ | 新日本 | あらた | |
金商法監査 | 12 | 30 | 53 | 51 |
会社法監査 | 1,097 | 1,351 | 1,247 | 439 |
学校法人監査 | 62 | 41 | 79 | 1 |
労働組合監査 | 24 | 13 | 7 | – |
その他の法定監査 | 559 | 588 | 723 | 234 |
その他の任意監査 | 650 | 735 | 761 | 290 |
合計 | 2,404 | 2,758 | 2,870 | 1,015 |
金商法・会社法監査を除く監査クライアントでも新日本が強い構図は変わらず、金商法監査、学校法人監査、その他の法定監査及びその他の任意監査でトップとなっています。
会社法監査ではあずさが、労働組合監査ではトーマツが首位となっています。
あらたは金商法監査で2位につけているものの、それ以外では4位となっています。
ⅳ.大会社等
2021年度 | 2022年度 | 増減 | 増減率 | |
トーマツ | 1,131 | 1,111 | △20 | △2% |
あずさ | 1,064 | 1,012 | △52 | △5% |
新日本 | 1,198 | 1,163 | △35 | △3% |
あらた | 253 | 258 | 5 | 2% |
公認会計士法上の大会社等を見てみると、1位は新日本で1,163社となり、前期比35社減少(△3%)となっているものの、前期に引き続きトップとなっています。
2位は1,111社のトーマツ、3位は1,012社のあずさ、そして4位は258社であらたとなっています。
監査クライアント数については、ここ数年のトレンドと変わらずに新日本が首位となっています。
新日本は会社法監査と労働組合監査を除く分類で首位に立っており、また大会社等のクライアント数も首位となっています。
業務収入とあわせると、監査業務では引き続き新日本が強みを持っていると言えます。
一方、業務収入4位のあらたはクライアント数も最も少なく、新日本を中心とする上位3法人とは差が大きく開いています。
なおここ数年、大手監査法人の監査クライアント数は減少傾向にありましたが、2022年度は新日本が54社増、トーマツが12社増となっており、僅かながらではあるものの底打ちの兆しが見えています。
(2) 非監査クライアント
2021年度 | 2022年度 | 増減 | 増減率 | |
トーマツ | 3,067 | 2,868 | △199 | △6% |
あずさ | 2,037 | 1,999 | △38 | △2% |
新日本 | 2,152 | 1,863 | △289 | △13% |
あらた | 1,205 | 1,233 | 28 | 2% |
非監査業務のクライアント数を見ていきます。
1位は2,868社のトーマツで、前期比199社減(△6%)となっているものの、前期に引き続き首位をキープしています。
2位はあずさで1,999社と前期比38社減(△2%)、3位が1,863社の新日本で前期比289社減(△13%)となっています。
4位あらたは1,233社にとどまりますが、前期比28社増(+2%)と僅かながらクライアント数を増加させています。
非監査クライアント数では新日本が300社弱、トーマツが200社弱、数を減らし、またあずさも38社減少となっています。
4大法人合計では約500社マイナスとなっており、監査クライアントと比較するとかなりの規模で減少しています。