IT化やシステム投資にあたって活用できる補助金が複数あります。それぞれの補助金について、補助金額や対象となる経費などをご紹介します。
インボイス制度の導入や電子帳簿保存法の改正などにより、中小企業や小規模事業者のIT化が求められています。
また、AIやビッグデータの活用など、ITを用いた新たなサービスによるビジネスチャンスも広がっています。
そのようなIT導入を進めるにあたっては、ソフトウェアやシステム開発への投資が必要となります。
ITへの投資にあたって利用できる補助金にはどのようなものがあるのかご紹介していきます。
IT導入補助金
まず、IT関連の補助金として、IT導入補助金について見ていきましょう。
概要
IT導入補助金は、生産性向上のためのITツールを導入するにあたって活用できる補助金です。
通常枠の他に、セキュリティ対策推進枠やデジタル化基盤導入枠といった特別枠も設けられています。
セキュリティ対策推進枠は、サイバー攻撃を防ぐためのサービス導入に対して補助されるものです。デジタル化基盤導入枠は、企業間取引のデジタル化を推進するための特別枠です。
補助対象者
中小企業、小規模事業者が対象となります。一定の条件を満たす社団法人や特定非営利活動法人、医療法人なども対象となります。
主な補助対象経費
ソフトウェア購入費、クラウド利用料、導入関連費
ソフトウェアを購入する費用やクラウドサービスを利用する費用だけでなく、それらの導入にかかる設定費用なども対象となります。
ただし、ITツールの導入を対象としており、スクラッチ開発を伴うものや自社向けに大幅なカスタマイズをする費用は対象となりません。
また、ITツールであれば何でも対象になるわけでなく、IT導入補助金事務局により認定を受けたITツールのみが補助対象となる点に注意が必要です。
セキュリティ対策推進枠では、独立行政法人情報処理推進機構が公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているサービスの利用料のみが補助対象となります。
デジタル化基盤導入枠では、会計ソフト・受発注ソフト・決済ソフト・ECソフトに限られますが、これらと合わせて使用するPC・タブレット、レジ・券売機を購入する費用も補助対象となります。
補助額
・通常枠
A類型:30万円~150万円未満
B類型:150万円~450万円
A類型では、1種類以上の業務プロセスを保有するソフトウェアの導入が該当します。
ITツールごとに販売支援や会計などの業務プロセスが定められています。
B類型では、4種類以上の業務プロセスを保有するソフトウェアを導入する必要があります。
・セキュリティ対策推進枠
5万円~100万円
・デジタル化基盤導入枠
ITツール:5万円~350万円
PC・タブレット:10万円以内
レジ・券売機:20万円以内
補助率
補助率は1/2です。
デジタル化基盤導入枠のITツールについては、50万円以下の場合は3/4、50万円超~350万円の場合は2/3となります。
事業再構築補助金
次に、事業再構築補助金についてご紹介します。
概要
事業再構築補助金は、ポストコロナ・ウィズコロナに対応した企業の事業再構築を支援する補助金です。
ここでいう事業再構築とは、新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換などを指します。
これまで行っていなかった新たな事業分野に進出する、業種や業態を変えるといった取組みが該当します。
補助対象者
小規模事業者、中小企業、10億円未満の中堅企業も対象となります。
一般社団法人、一般財団法人、NPO法人なども対象となります。
また、売上減少の要件もあります。
具体的には、2020年4月以降の連続する6カ月間のうち、任意の3カ月間の合計売上高が、コロナ以前(2019年または、2020年1~3月)の同3カ月の合計売上高と比較して10%以上減少していることが求められます。
補助対象経費
IT化に限らない補助金であり、事業再構築にあたってのさまざまな経費が補助されます。
IT関係としては、機械装置・システム構築費やクラウドサービス利用料などが対象となります。
事業再構築補助金の採択事例には、VRカメラを活用した画像提供システムの構築やオンラインのM&Aプラットフォーム構築などが紹介されています。
補助額
企業の従業員数によって異なり、通常枠では次のような補助額となります。
- 従業員数20人以下:100万円~2,000万円
- 従業員数21~50人:100万円~4,000万円
- 従業員数51~100人:100万円~6,000万円
- 従業員数101人以上:100万円~8,000万円
補助率
通常枠では次のような補助率です。
中小企業者等:2/3(6,000万円を超える部分は1/2)
中堅企業等:1/2(4,000万円を超える部分は1/3)