新型コロナウイルス感染症の収束が見えない中、新しい生活様式が求められており、事務所や店舗などでも感染防止に努める必要が生じています。ビジネスを進めるにあたっても、従来行ってこなかった感染対策を踏まえた新しい取組みが必要になる場面も多いでしょう。このような状況を踏まえて、感染防止ガイドラインにもとづいた取組みに対する補助金、感染防止対策取組書の掲示によって活用できる補助金なども設けられています。

感染防止対策に関する取組みに対する補助金・助成金は大きく分けて2種類あります。
(1)感染防止対策にかかる経費だけで申請できるもの
アクリル板の設置や消毒液の購入などの感染防止に関する取り組みについて単独で申請できるタイプの補助金や助成金です。執筆時点では全国的に行っているものは見当たらず、各都道府県で行っているものがあります。
(2)販路開拓や設備投資などと合わせて感染防止対策にかかる経費を申請できるもの
感染防止対策にかかる取組みだけでは申請できず、販路開拓や設備投資といった今後の企業の継続や成長に向けた取組みと合わせて申請できるものです。小規模事業者持続化補助金やものづくり補助金の事業再開枠がこれに該当します。
(1) 感染防止対策にかかる経費だけで申請できるもの
どのような補助金・助成金があるのかは自治体によって異なります。自治体によっては該当する補助金・助成金制度が現在ない地域もあるようです。
ここでは、東京都と神奈川県の補助金を紹介します。
◆東京都 新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン等に基づく対策実行支援事業
東京都内の中小企業者等に対して、業界団体が作成した新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン等にもとづいて行う取組費用が助成されます。感染予防対策に直接必要な内装・設備工事費、備品の購入費が対象となります。例として、飛沫感染防止のためのパーテーション、室内の空気を屋外に排気する機械換気設備、サッカー台(会計後に袋付けする作業台)などが挙げられています。
対象者:東京都内の中小企業者(会社、個人事業者)、一般財団法人、一般社団法人、特定非営利活動法人(NPO法人)、中小企業団体等
対象経費:新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン等にもとづく感染予防対策に係る経費
①内装・設備工事費
(例)パーテーション設置工事、換気設備設置工事
②備品購入費
(例)サーモカメラ・サーモグラフィーの購入
※備品の購入に関しては、1点あたりの購入単価が税抜10万円以上のものに限られます。そのため、1点あたりの単価が税抜10万円未満のアクリル板・透明ビニールシートを購入して自分で設置する場合は対象外となります。また、消毒液やマスク、フェイスシールドなど同じく単価が10万円未満の消耗品も対象外となります。
金額:対象経費の2/3以内で上限50万円(内装・設備工事費を含む場合は上限100万円)
実施主体:東京都中小企業振興公社
申請期間:2020年8月31日まで
支給時期:取組を実施した後、東京都中小企業振興公社の検査を経てから支給される
申請方法:郵送
申請に必要な書類:
- ・申請書
- ・新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン等
- ・見積書、工事図面等
- ・登記簿謄本(個人事業者の場合は開業届)
- ・納税証明書
- ・直近1期分の確定申告書 など
問い合わせ先:東京都中小企業振興公社 感染予防対策ガイドライン実行支援事業事務局
電話番号:03-4326-8174
◆神奈川県 神奈川県中小企業・小規模企業感染症対策事業費補助金(非対面型ビジネスモデル構築事業・感染症拡大防止事業)
「感染防止対策取組書」を掲示している神奈川県内の中小企業者などに対して、非対面型ビジネスモデル構築や感染症拡大防止に取り組む費用が補助されます。
対象者:神奈川県内の事業所で事業を実施し、「感染防止対策取組書」を掲示している中小企業者、特定非営利活動法人、社団法人、財団法人。
対象経費:
デリバリーサービス利用やテイクアウト用窓口設置などの非対面型ビジネスモデル構築にかかる経費、感染症拡大を防止する消耗品等を購入する経費
(例)テイクアウト窓口の設置工事、キッチンカー購入
除菌剤の噴霧器、換気扇、換気のための窓の設置、体温計・サーモカメラ、キーレスシステム、携帯アルコール検知器、アルコール消毒液、マスク、樹脂製ビニールカーテン、アクリル板、つい立、ビニール手袋、フェイスシールド など
金額:補助対象経費の3/4以内で上限100万円
実施主体:神奈川県産業労働局 中小企業部中小企業支援課
申請期間:2020年12月4日まで
支給時期:取組を実施した後、実績報告を行って審査された後に支給される
申請方法:郵送
申請に必要な書類:
- ・補助金交付申請書
- ・補助事業計画書
- ・収支計算書
- ・感染防止対策取組書を店舗等に掲示した写真
- ・営業許可証等(写し)
- ・貸借対照表、損益計算書(個人の場合は確定申告書)
- ・登記簿謄本 など
問い合わせ先:神奈川県感染症対策補助金班
電話番号:070-1187-0382など
各自治体の補助金・助成金については、J-Net21というサイトに、新型コロナウイルスに関する地域の補助金・助成金・融資の情報がまとめられていますのでご参照ください。
(2) 販路開拓や設備投資などと合わせて感染防止対策にかかる経費を申請できるもの
小規模事業者持続化補助金やものづくり補助金の事業再開枠をご紹介します。次の応募期限がやや先になってしまいますが、設備投資なども必要になりますので、タイミングが合えば活用をお勧めします。