年末になると、ふるさと納税の利用が急増します。ワンストップ特例の利用を考えている人もいるでしょう。確定申告しなくても節税できるワンストップ特例は便利ですが、1つでも条件から外れると使えません。事前の注意が肝心です。
ワンストップ特例とは
ワンストップ特例とは、ふるさと納税での寄附分を翌年6月からの住民税で控除するしくみです。
ふるさと納税での寄付は本来、所得税で「寄附金控除」、住民税で「寄附金税額控除」として差し引かれます。
この控除を受けるには確定申告が必要です。
上限額以下で寄附をすれば、次のように控除されます。
【引用元】ふるさと納税のしくみ(総務省)
ただし確定申告は「書類を用意する」「計算する」「提出する」といった手間がかかります。
年末調整だけで済む会社員や源泉徴収で完結する年金生活者にとって確定申告は負担です。
そこで国は、ふるさと納税の裾野を広げるべく、確定申告が不要になる制度を設けました。
これがワンストップ特例です。
結果、申請書を寄附先の自治体に送れば「寄附した金額-2000円」が翌年6月からの住民税から差し引かれるようになりました。
【引用元】ふるさと納税トピックス_制度改正について(2015年4月1日)(総務省)
ワンストップ特例の条件
ワンストップ特例が使えるのは、次の3つの条件に当てはまるときです。
- 寄附先の自治体数が5つ以下
- 年明けに確定申告をしない
- ワンストップ特例の申請書を期限内に寄附先に送った
この3つのうち、1つでも当てはまらなければワンストップ特例は使えません。
また、引っ越しした後に手続きしなかったときも特例は受けられません。
ワンストップ特例を使える人
ワンストップ特例は、確定申告をしないことが前提です。
この制度を使えるのは次のような人に限られます。
- 年末調整で完結する給与所得者(正社員、バイト・パート、派遣社員や契約社員など)
- 源泉徴収されている年金生活者で確定申告をしない人
- 源泉徴収ありの特定口座で投資をし、確定申告する予定のない人
個人事業主や不動産オーナーなど、確定申告をする人は特例を使えません。
また、給与所得者や年金生活者も確定申告をしたら、ワンストップ特例を使えなくなります。
ワンストップ特例の手続き
ワンストップ特例は、申請書を寄附先の自治体に提出すれば利用できます。
郵送期限は翌年1月10日(必着)です。
寄附先の自治体から送られてきた申請書に必要事項を記入し、マイナンバーの確認書類とともに返送します。
なお現在、一部のふるさと納税ポータルサイトと自治体では、オンラインでワンストップ特例の申請ができます。
マイナンバーカードと専用アプリがあれば、スマートフォンで手続き完了です。