[この記事のポイント]
●スマホで「青色申告決算書」「収支内訳書」が作成できるようになり、事業所得や不動産所得も申告可能になる予定
●スマホ確定申告には、マイナンバーカードの取得か、事前のID・パスワードの取得が必要なため、準備に時間が掛かる
●今から準備すれば2022年分の確定申告はスマホで行えるように
とうとう、個人事業主がスマホで税務申告をできる時代がやってきました。
これまでスマホで非対応だった、
・青色申告決算書 … 個人が事業所得や不動産所得などの青色申告をする場合に必要
・収支内訳書 … 個人が事業所得や不動産所得などの白色申告をする場合に必要
の作成・申告が、2023年1月から対応可能になります。
これにより、事業所得のある個人事業主が、スマホで確定申告書類を作成・申告できるようになる見込みです。
ですが、スマホ申告をしようと思った場合、確定申告期が来る前に取り掛かっておくべき事前準備があります。
そこで今回の記事では、2022年分の税務申告をスマホでチャレンジしようという方向けに、今から始めるべき準備内容と、申告する手順についてご説明します。
スマホで確定申告するメリットと準備
持参や郵送ではなく、インターネットを介して税務署に確定申告書類を提出するのを可能にするのが、「e-Tax(国税電子申告・納税システム)」です。
e-Taxの申告には、以下のような利点があります。
スマホ申告のメリット
・自宅で申告が完了する
24時間いつでも自宅で申告ができます(メンテナンス時間を除く)。混んでいる税務署に行く必要がなく、並ぶ必要もありません。事前準備は必要です。
・添付書類の省略
生命保険料控除証明書等は記載内容を申告書に入力してあれば、書類を添付する必要がありません。なお証明書は保管の義務があります。
・青色申告の特別控除額が55万円→65万円に
確定申告書類の提出を、提出期限までにe-Taxを使用して行うことで、青色申告控除の控除額が55万円から65万円に増額されます。
・還付が早くなる
通常より早い3週間程度で還付されます。
スマホ申告に欠かせない本人確認のための2つの方法
e-Taxで確定申告するには、そのデータが改ざんされていないことを確認するために、本人確認が必要です。
本人確認するための方式には、以下の2通りがあります。
<ID・パスワード方式>
事前に、税務署やWEBで本人確認をし、利用者識別番号(ID)・パスワードの発行を受ける方式です。
ID・パスワード方式は、e-Taxのメッセージボックスの閲覧ができないため、過去の申告履歴などが確認できません。
<マイナンバーカード方式>
マイナンバーカードを利用した、電子証明書による電子署名です。マイナンバーカードの読み取りに対応したスマホでカードを読み取ります。
ID・パスワード方式の申請方法
ID・パスワード方式は、以下の2つのどちらかの方法によって利用可能になります。
・税務署に行って、ID・パスワード方式の届出を作成・送信し、届出完了通知を受け取る
※運転免許証など本人確認書類が必要
・WEBからID・パスワード方式の届出を作成・送信
※この方法は、申請するにあたってマイナンバーカードが必要です。
マイナンバーカード方式の申請方法
マイナンバーカードがあれば特別な申請は要りませんが、マイナンバーカードをこれから取得する場合は、申請からマイナンバーカードが発行されるまでに1カ月ほどかかります。
2022年11月現在、国はマイナンバーカードの取得率アップを目指しており、まだ取得していない人に向けて「QRコード付き個人番号カード交付申請書」を郵送しているので、お手元に申請書がある人も多いのではないでしょうか。
届いた書類のQRコードを読み取る、または自分で「マイナンバーカード総合サイト」にアクセスし、「オンライン申請はこちら」から必要事項の入力と顔写真の登録をすれば、申請完了となります。
申請に必要となる顔写真は、お手持ちのスマホで撮影したもので大丈夫。
申請後の手順は以下の通りです。
- インターネットで申請した後、1カ月ぐらいではがき(交付通知書)が届く
- 本人確認書類を持ってはがきに記載された交付場所へ行く
- その場で「6~16桁の英数字」「4桁の数字」の2種類の暗証番号を設定し、マイナンバーカードを受け取る
※スマホで申告するのには、マイナンバーカードの暗証番号が必須なので、この時入力した番号を忘れないようにしましょう!
スマホで確定申告するには
スマホで確定申告するには、以下をまずお手元に用意します。
スマホで確定申告する際に用意するもの
<ID・パスワード方式>
・発行されたID・パスワード
・スマートフォン(Android端末・iPhone)
<マイナンバーカード方式>
・マイナンバーカード
・マイナンバーカードの暗証番号
・マイナンバーカードの読み取りに対応したスマートフォン(Android端末・iPhone)
※マイナンバーカードに対応したスマートフォン一覧はこちら
・「マイナポータル」アプリのダウンロード
※マイナンバーカードを読み取るために必要となります。
※マイナポータルアプリを利用できるかの確認はこちら
<共通>
・給与収入がある場合は源泉徴収票
・控除額を入力する際に必要となる各種領収書、控除証明書
・収支内訳書/青色申告決算書を入力する際に必要となる帳簿類
・利用者識別番号(16桁の番号)
e-Taxを初めて利用する際に取得します。過去に取得したことがある場合は、入力が必要になることがあります。
利用者識別番号がない場合、「利用者情報の登録」画面に従い入力を進める、もしくは「開始届出書」を作成・送信すると、登録が完了し利用者識別番号が発行されます。
スマホで確定申告する手順
ブラウザから、国税庁が準備しているWEBページの「国税庁 確定申告書等作成コーナー」にアクセスし、収入・所得金額や控除等を入力していくことで、確定申告書を作成していきます。
対応ブラウザはiPhoneの場合「Safari」、Androidの場合は「Chrome」です。
■国税庁 確定申告書等作成コーナー スマートフォンページ
(画像出典:「国税庁 確定申告はとっても便利なスマホからがおすすめです!(令和4年8月)」より)
入力完了後に、申告内容の事前確認を行い、「送信する」を選べば、確定申告が完了します。
2022年分から!青色申告決算書と収支内訳書もスマホで作成
2021年分までは、「青色申告決算書」と「収支内訳書」はスマホ向けの確定申告書等作成コーナーでは作成できませんでした(会計ソフトを提供している会社などからは、スマホに対応した各種確定申告用アプリがリリースされています)。
2022年分から、「青色申告決算書」「収支内訳書」を作成できるようになり、事業所得や不動産所得の申告もスマホから行えるようになります。
■国税庁 確定申告書等作成コーナー スマートフォンページ(青色申告決算書画面)
※画面は開発中のものです。
(画像出典:「国税庁 確定申告はとっても便利なスマホからがおすすめです!(令和4年8月)」より)