9月下旬、日本列島を台風が次々と襲いました。台風14号、15号に続き、今、台風17号が懸念されます。一方、税金は原則「待ったなし」です。申告や納税が遅れればペナルティが生じます。しかし、台風や大雨、地震などで被害を受けたときは配慮されます。今回、被災でどうにもならなくなったときの対策として「期限の延長(個別指定)」と「納税の猶予」をお伝えします。
災害時の対策1:期限の延長(個別指定)
被災して身動きが取れなくなったときに思い出したいのが「期限の延長」です。
この制度を使えば、さまざまな国税の確定申告や納付、届出や申請といった手続きの期限を延長できます。
期限の延長は、次の3つに分かれます。
種類 | 条件 | 内容 | 延長後の期限 |
地域指定 | 災害の被害が広いとき | 国税庁長官が 地域と期日を告示 |
告示の期日 |
対象者指定 | 国税庁のシステムダウンなどで多くの納税者が特定の税目の申告・納税ができないとき | 国税庁長官が対象者の範囲と期日を告示 | 告示の期日 |
個別指定 | 上記以外 | 納税者が自ら申請 | 承認を受けた日 |
【引用】「雑損控除」だけじゃない!災害時に事業主を助ける税務上の救済措置
今回、覚えておきたいのは個別指定です。
地域指定と対象者指定は国税庁のサイトで告示が出ます。
しかし、今回の台風14号、15号のように、告示が出ないケースもあります。
けれど、被災をすれば「車を出せない」「通信ができない」で身動きが取れなくなるのも事実です。
そんなとき、個別延長は活用する意義があります。
どんなときに使うのか
被災で交通途絶になったときなどに使います。
「身動きは取れるけど被災してお金に余裕がなくなった、納税が苦しい」なら、後述する「納税の猶予」で対処します。
どんな税金の手続きに使えるか
国税のさまざまな手続きに使えます。
夏から秋の災害なら、次のような手続きが対象になるかと思われます。
- 源泉所得税の納付
- 所得税の予定納税
- 法人税・消費税の中間申告
- 相続税の申告・納付
- 登録免許税の納付
- 開業届、青色申告の承認申請書など
申請の方法と期限
個別指定の期限の延長は、次の用紙に必要事項を書いて管轄の税務署に提出します。
この申請書は、原則「災害がやんだ日から1カ月以内に提出すること」となっています。
ただし、申告や納税の期限が過ぎた後でも提出が可能です。
災害の状況がある程度落ち着いて、何らかの手続きができるようになってから提出するのでも間に合います。
延長した期限はどうなるのか
この申請書には、納税者自ら希望の期限を記載します。
承認されればその期限となります。