連載は今回が最終回です。実は筆者、イラストのモデルになっている夫から「モデル料を払え!俺のおかげで読んでもらえているんだ!」と迫られています(涙)。「どうせ払うなら必要経費にしたい」と考えるのが事業主というもの。さて、夫に払うモデル料は経費にできるのでしょうか。

この記事の目次

【登場人物】

よっちゃん(以下「よ」):まゆこの夫。行政書士。仕事はできるが税金はくわしくない。特技は料理と釣り。夢は釣り三昧の日々。

まゆこ(以下「ま」):税理士・税務ライター。「こむずかしい税金をいかに分かりやすく表現するか」ばかり考えている。趣味は、よっちゃんのごはんを食べること。

長女ちゃん(以下「長」):鈴木家の長女。高校生。趣味は魚を釣ることと馬(血統表を含む)を見ること。

家族への支払いは原則「経費にできない」

よ「俺にモデル料を払っても経費にならないんだ…。なるもんだと思ってた」

ま「以前、三姉妹に領収書の整理をやってもらったことがあるけど、あれも経費にしてないよ」

よ「そうなの?」

ま「だって所得税法にこんな規定があるんだもん」

【引用元】所得税法|e-gov
※イラスト・コメントは筆者によるもの

 

よ「ふーん…。なんで経費にならないの?」

ま「外部に払うのと家族に払うのとでは、意味が違うからよ」 

ま「事業を行うのに必要なお金を外部に払うと、その分所得は減るでしょ。でも家族に払っても、お金は家計の中でぐるぐるするだけ。外部に払うのと結果が違うでしょ」

よ「いや、でも俺もまゆ子もそれぞれ別に事業を行っているじゃない」

ま「今はね。でも、この規定ができた当時は戦後で、個人事業は家族経営ばっかりだったのよ。『個人事業は家族全体で協力して行うもの。財産を家族みんなで使って成り立っている』と考えていたわけ」

よ「…」

ま「そういう状態だと、家族への支払いでも事業の経費なのか、家計の支払いなのかの区別が難しいでしょ」

よ「ふーん…」

ま「それに、家族への支払いを経費にできてしまうと、支払額をコントロールして意図的に税金を減らすことだってできてしまう。それを防ぐために『家族が何か仕事を手伝ってくれたとしても、支払いは経費として認めない』ってなったわけ」

よ「なるほど…」

ま「ちなみに、家族から仕事をした対価をもらっても課税される所得にはならないよ。このあたりもバランスはとれてるの」