「12月の年末調整が終われば一息つける」。そう思っていませんか。残念ながら、年末調整が終わった後も手続きがあります。年が明けたら、支払調書と給与支払報告書を作成し、行政機関に提出しなくてはならないのです。
年末調整からの手続きの流れ
年末調整が終わった後の年明け1月は、源泉徴収票の交付や納税の他にもやることがあります。
「支払調書」「給与支払報告書」の作成と提出です。
なぜ、このような書類を作成しなくてはならないのでしょうか。
お金の処理をしただけだと、課税に関する重要な情報が行政機関に届かず、課税の不公平を招くおそれがあるからです。
年末調整で所得税の精算をし、納税をすればお金に関する作業は完了します。
しかし「誰がどれくらい受け取ったのか」「どんな控除があるのか」がわからないと、正しく課税できません。
特に困るのは、都道府県や市区町村です。
個人住民税は、役所側で所得額や税額を計算して課税する「賦課課税方式」を採用しています。
ただ、所得や控除の情報がなければ役所も税額計算ができません。
また、税務署も困ります。
会社は1年の間に給与の他、報酬や講演料、家賃などを払っています。
こういった情報が手元にないと、個人や法人の申告内容が正しいかどうか、判断できません。
国の運営に必要な財源を確保し、かつ公平な課税を実現するには、お金の動きについての情報が欠かせません。
そこで事業主は、1年間の所得額や税額、納税者の人数などを行政機関に報告することが義務付けられているのです。
年末調整後の手続き1:支払調書の作成・提出
支払調書は、1年間に事業主が行った特定の支払いについての報告書のようなものです。
給与や外注先への報酬、料金、不動産の賃借料などについて記載します。
支払が生じた年の翌年1月末日までに、事業所等の所在地を管轄する税務署に提出します。
年末調整後に作成する主な支払調書
支払調書は所得税法や租税特別措置法、相続税法などで規定されており、全部で50種類以上あります。
年末調整後に提出が義務付けられているのは、主に次の6つです。
- 給与所得の源泉徴収票
- 退職所得の源泉徴収票
- 報酬、料金、契約金及び 賞金の支払調書…
- 不動産の使用料等の支払調書
- 不動産等の譲受けの対価の支払調書
- 不動産等の売買又は 貸付けのあっせん手数料の支払調書
「支払先すべて」ではない
支払調書は、支払先すべてについて作成する必要はありません。
「いくら支払ったか」「誰に支払ったか」を基準に提出範囲が決められています。
たとえば、給与所得の源泉徴収票です。
以下の条件に当てはまるものだけを提出することとなっています。
【引用元】第2給与所得の源泉徴収票(給与支払報告書)(国税庁)
法定調書合計表を表紙に
支払調書を提出するときは、法定調書合計表も添付します。
法定調書合計表は、支払調書の概要をざっくりとまとめたものです。
次のような様式となっています。
【引用元】令和 年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(国税庁)
書面で提出するときは、次のように法定調書合計表を表紙にして提出します。