源泉徴収票を発行されないこともあるフリーランスや個人事業主は、どのように自分の所得を申告したらいいのでしょうか?この記事では、フリーランス・個人事業主の方の確定申告の方法について、詳しく解説します。
この記事の目次
フリーランスが知っておくべき源泉徴収の基礎知識
日本では、所得発生の源泉で一定税率の税額を差し引き、所得の支払いを行う「源泉徴収制度」が採用されています。
フリーランス・個人事業主の方が所得を申告するために、知っておくべき源泉徴収の基礎知識を押さえておきましょう。
フリーランスでも源泉徴収は発生する
源泉徴収は、会社側があらかじめ一定税率の税額を差し引き、当人に代わって納税を行っています。
フリーランスの方の場合も、仕事の委託元が一般企業であれば通常源泉徴収は行われます。
源泉徴収が発生する報酬の種類
法律では、フリーランスの方でも源泉徴収が発生する(納税の義務が発生する)報酬の種類として、以下が定められています。
- 原稿料や講演料など
ただし、懸賞応募作品等の入選者に支払う賞金等については、一人に対して1回に支払う金額が50,000円以下であれば、源泉徴収をしなくてもよいことになっています。
- 弁護士、公認会計士、司法書士等の特定の資格を持つ人などに支払う報酬・料金
- 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
- プロ野球選手、プロサッカーの選手、プロテニスの選手、モデルや外交員などに支払う報酬・料金
- 映画、演劇その他芸能(音楽、舞踊、漫才等)、テレビジョン放送等の出演等の報酬・料金や芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬・料金
- ホテル、旅館などで行われる宴会等において、客に対して接待等を行うことを業務とするいわゆるバンケットホステス・コンパニオンやバー、キャバレーなどに勤めるホステスなどに支払う報酬・料金
- プロ野球選手の契約金など、役務の提供を約することにより一時に支払う契約金
- 広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞
(引用元:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2792.htm)
フリーランスは源泉徴収票が発行されない場合がある
業務委託契約の場合、源泉徴収を行う義務自体はありますが、源泉徴収票(支払調書)を発行する義務はありません。
届かない場合は、取引先に発行を依頼するか、税率を自分で計算する必要があります。
フリーランスが注意したい源泉徴収の2つのポイント
さらにフリーランスの方は、源泉徴収に関して、次の2つのポイントに注意する必要があります。
1. 復興特別所得税が含まれる
平成25年1月1日〜令和19年12月31日の間に生じる所得に対しては、個人が通常払う所得税額の2.1%分が加算されています。
この加算分は、復興特別所得税と呼ばれるもので、会社員の場合は所得税と一緒に毎月の給料から源泉徴収されています。
フリーランスの方も、同様に、所得税に対して2.1%の復興特別所得税を含めて所得税額を計算しなければなりませんので注意してください。
2. 請求書の消費税を別に
フリーランスの方は、当然所得税の納付も必要となりますが、消費税の確定申告についても行わなければなりません。
ただし、消費税に関しては、納税義務が免除される場合があるので、この場合、消費税に関する確定申告は必要ありません。
したがって、請求書を発行するときに、源泉徴収額と消費税額を別々に計算しておく必要があります。
原則、消費税込みの報酬額に対して10.21%の所得税が源泉徴収額となります。
ただし、報酬の額と消費税の額を明確に分けて記載していると、消費税を含まない報酬が源泉徴収の対象となりますので注意してください。