4大国際会計事務所(Deloitte、PwC、EY、KPMG)の2022年度売上ランキングです。

この記事の目次

グローバルで大きな存在感を放つDeloitte、Pricewaterhouse Coopers(以下、PwC)、Ernst & Young(同EY)、KPMGの4つを合わせて「BIG4」「4大国際会計事務所」と称します。

今回は4大国際会計事務所の2022年度売上ランキングを見ていきます。

4大国際会計事務所とは

Deloitte、PwC、EY及びKPMGは、それぞれ20~40万人程度の構成員を抱え、世界150カ国以上に拠点を有する巨大な国際会計事務所です。

日本の4大監査法人とは次のような提携関係にあります。

1. 売上ランキング

まずは全体の売上ランキングです。

FY2021 FY2022 増減額 増減率
Deloitte 502 593 91 18.1%
PwC 451 503 52 11.4%
EY 400 454 54 13.5%
KPMG 321 346 25 7.8%

* Deloitteは5月決算、PwC及びEYは6月決算、KPMGは9月決算

 

1位は593億ドル、日本円で7兆8千億円(2022年の年間平均為替レート(TTM)131.43円により換算。以下日本円への換算は同レートによる)の売上を計上したDeloitteです。

Deloitteは前期比91億ドル、18.1%の増収決算となり、2021年度に引き続き売上トップです。

2位は503億ドル/6兆6千億円のPwC(前期比52億ドル、11.4%の増収)、3位はEYで454億ドル/6兆円(前期比54億ドル、13.5%の増収)となっています。

4位KPMGは346億ドル/4兆6千億円の売上となり、前期比25億ドル、7.8%の増収決算です。

2022年度はBIG4いずれも増収決算となり、また順位は2021年度と変わっていません。

Deloitte、PwC及びEYは2桁増を達成し、なかでもDeloitteは前期比91億ドル、18.1%と大きな成長を見せ、他の3ファームを引き離しています。

一方、KPMGは1桁増にとどまり、上位3ファームとの差は開いています。

なお1位Deloitteの売上を基準(100%)とすると、2位PwCは85%、3位EYは77%、4位KPMGは58%となります。

KPMGはDeloitteの6割弱にとどまっており、BIG4と言われてはいるものの、売上規模の点で見るとかなりの差があることが分かります。

2. サービスライン別売上ランキング

続いてサービスライン別に見ていきます。

Deloitte (*) PwC EY (**) KPMG
監査・保証 114 180 144 119
コンサルティング 381 207 197 154
税務・法務 99 116 113 74
合計 593 503 454 346

* DeloitteのコンサルティングはConsulting, Financial Advisory, Risk Advisoryの合計

** EYのコンサルティングはConsulting, TAS (Transaction Advisory Service)の合計

 

サービスライン別売上を見ると、PwC、EY及びKPMGでは監査・保証が3割台、コンサルティングが4割台、税務・法務が2割台と同じような構成になっているのに対して、Deloitteではコンサルティングが6割超、監査・保証業務と税務・法務がそれぞれ2割弱となっています。

(1)監査・保証

監査・保証業務の売上ランキングです。

FY2021 FY2022 増減額 増減率
Deloitte 105 114 9 8.6%
PwC 171 180 9 5.5%
EY 136 144 8 5.9%
KPMG 115 119 4 3.4%

監査・保証売上のトップは180億ドル/2兆4千億円を計上したPwCです。

PwCは2021年に引き続き1位となっており、前期比9億ドル、5.5%の増収となっています。

それに続くのがEYで144億ドル/1兆9千億円(前期比8億ドル、5.9%の増収)、3位がKPMGで119億ドル、1兆6千億円(前期比4億ドル、3.4%の増収)、そして4位がDeloitteで114億ドル、1兆5千億円(前期比9億ドル、8.6%の増収)です。

監査・保証売上のランキングは2021年度と変わらず、PwC、EY、KPMG、そしてDeloitteとなっています。

全体売上1位のDeloitteは前期に引き続き4位となっていますが、増収率8.6%は最も大きなものとなっています。

3位KPMGが4億ドルの増収にとどまる中、その差は前期の10億ドルから5億ドルへと減少しています。

1位PwCの監査・保証売上を基準(100%)とした場合、EYは8割、KPMGは7割弱、Deloitteは6割強となり、PwCと他の3ファームにはかなりの差があります。

なおBIG4いずれも増収決算ではあるものの、増収幅はすべて1桁にとどまっており、売上全体の増収幅を下回っています。

(2)コンサルティング

続いてコンサルティングの売上です。

FY2021 FY2022 増減額 増減率
Deloitte (*) 310 381 71 22.9%
PwC (**) 170 207 37 21.6%
EY (***) 159 197 38 23.9%
KPMG (**) 137 154 18 13.1%

* DeloitteはConsulting, Financial Advisory, Risk Advisoryの合計

** PwCとKPMGはアドバイザリー売上をコンサルティングとして集計

*** EYはConsulting, TAS (Transaction Advisory Service)の合計

 

1位は381億ドル/5兆円を記録したDeloitteで、前期比71億ドル、22.9%の増収となっています。

Deloitteは2021年度に続いての首位となり、また成長率も20%を超え、コンサルティング売上では他を圧倒しています。

2位は207億ドル、2兆7千億円でPwCが続いており、こちらは前期比37億ドル、21.6%となっています。

3位はEYで197億ドル、2兆6千億円となり、前期比38億ドル、23.9%の増収です。

4位KPMGは154億ドル、2兆円で、前期比18億ドル、13.1%の増収となっています。

コンサルティング売上のランキングも2021年度と変わらず、Deloitte、PwC、EY、そしてKPMGの順となっています。

この分野におけるDeloitteの存在感は大きく、Deloitteを基準(100%)とすると、PwCとEYが5割強、KPMGは4割であり、Deloitteとその他3ファームの間には大きな差があります。

なおBIG4全てで2桁の増収となり、特にKPMGを除く3ファームは20%以上の増収率を記録しています。

いずれのファームでも売上全体の増収率を大きく上回っていることから、コンサルティングがBIG4の成長ドライバーとなっていることが分かります。

(3)税務・法務

最後に税務・法務の売上ランキングです。

FY2021 FY2022 増減額 増減率
Deloitte 89 99 10 11.2%
PwC 110 116 5 4.9%
EY (*) 105 113 8 7.6%
KPMG 70 74 3 4.7%

* EYはTax売上を税務・法務に集計

 

1位は116億ドル/1兆5千億円を計上したPwCで、前期比5億ドル、4.9%の増収です。

僅差で続くのがEYで113億ドル/1兆5千億円となり、前期比8億ドル、7.6%の増収となっています。

3位が99億ドル/1兆3千億円のDeloitteで、前期比10億ドル、11.2%の増収となっています。

そして4位がKPMGで74億ドル、1兆円の売上となり、前期比3億ドル、4.7%の増収決算です。

税務・法務売上でもランキングは2021年度と変わらず、PwC、EY、Deloitte、そしてKPMGとなっています。

PwCとEYが安定して成長する中、3位Deloitteが10億ドルの増収となり、PwC、EYとの差を縮めた一方、4位KPMGは3億ドルの増収にとどまっています。

KPMGの売上は首位PwCの6割超であり、ここでも上位との差は大きいものとなっています。

なおBIG4全て増収決算となっていますが、監査・保証業務と同様、全体の増収率を下回っています。