3. 地域別売上ランキング

続いて地域別の売上です。

Deloitte (*) PwC EY (**) KPMG
アメリカ大陸 307 213 211 137
ヨーロッパ・中東・アフリカ 188 191 171 146
アジア・太平洋 100 99 72 63
合計 593 503 454 346

* Deloitteのアジア・太平洋にはアジア・オセアニアを集計

** EYのヨーロッパ・中東・アフリカにはEMEIA (Europe, Middle East, India and Africa)を集計

 

地域別の売上を見ると、各ファームにおいてアメリカ大陸が4~5割、ヨーロッパ・中東・アフリカが3~4割、そしてアジア・太平洋が1~2割となっています。

Deloitteはアメリカ大陸における売上が5割超と高く、PwCとEYでもアメリカ大陸が最大となっていますが、KPMGはヨーロッパ、中東、アフリカの売上が最大となっています。

なおアジア・太平洋での売上はBIG4いずれも最少であり、2割程度にとどまっています。

(1)アメリカ大陸

まずはアメリカ大陸におけるランキングです。

FY2021 FY2022 増減額 増減率
Deloitte 252 307 55 21.8%
PwC 183 213 30 16.5%
EY 177 211 34 19.2%
KPMG 119 137 18 15.4%

アメリカ大陸での売上は307億ドル/4兆円を計上したDeloitteが首位となり、前期比55億ドル、21.8%の増収となっています。

Deloitteは2021年度に続いて1位となっており、さらに増収額、増収率ともに他ファームを上回っています。

2位はPwCで213億ドル/2兆8千億円となり、前期比30億ドル、16.5%の増収です。

3位は僅差でEYが続き、211億ドル/2兆8千億円で前期比34億ドル、19.2%の増収決算となっています。

そしてKPMGが4位となり、売上は137億ドル/1兆8千億円で前期比18億ドル、15.4%の増収です。

アメリカ大陸ではBIG4全てが2桁の増収となり、特にこの地域で強みを持つDeloitteが20%を超える増収となるなど、大きく成長しています。

ランキングは2021年度と変わらないものの、2位PwCと3位EYの差が2億ドルと僅かなものになりつつあります。

なお4位KPMGはDeloitteの4割超にとどまっており、アメリカ大陸では大きく差を付けられています。

(2)ヨーロッパ・中東・アフリカ

続いてヨーロッパ・中東・アフリカのランキングです。

FY2021 FY2022 増減額 増減率
Deloitte 167 188 21 12.6%
PwC 180 191 11 6.3%
EY (*) 157 171 14 8.9%
KPMG 143 146 3 2.4%

* EYはEMEIA (Europe, Middle East, India and Africa)の売上をヨーロッパ・中東・アフリカに集計

 

ヨーロッパ・中東・アフリカでは191億ドル/2兆5千億円を計上したPwCが1位となり、前期比11億円、6.3%の増収となっています。

2位がDeloitteで188億ドル/2兆5千億円となり、前期比21億ドル、12.6%の増収決算でPwCに迫っています。

3位はEYで171億ドル/2兆2千億円となり、前期比14億ドル、8.9%の増収、そして4位KPMGが146億ドル/1兆9千億円で前期比3億ドル、2.4%の増収となっています。

ランキングこそ2021年度と変わらずPwC、Deloitte、EY、そしてKPMGの順ですが、2位Deloitteが2桁の増収となったことで、1位PwCとの差は3億ドルに縮まっています。

Deloitte以外の3ファームは1桁増にとどまり、特に4位KPMGは+2.4%とほぼ前期並みと言え、この地域では上位3ファームとの差が広がっています。

(3)アジア・太平洋

最後にアジア・太平洋のランキングです。

FY2021 FY2022 増減額 増減率
Deloitte 85 100 15 17.6%
PwC 89 99 10 11.3%
EY 66 72 6 9.1%
KPMG 60 63 3 5.7%

* Deloitteのアジア・太平洋にはアジア・オセアニアを集計

 

1位はDeloitteとなり、売上は100億ドル/1兆3千億円で前期比15億ドル、17.6%の増収決算となっています。

2021年度は2位でしたが、大幅な増収を達成したことでDeloitteがアジア・太平洋エリアの首位となっています。

続いて99億ドル/1兆3千億円を計上したPwCが2位となり、こちらも前期比10億ドル、11.3%と2桁の増収となっています。

3位が72億ドル/9千億円のEYで、前期比6億ドル、9.1%の増収、そして4位が63億ドル/8千億円のKPMGで、前期比3億ドル、5.7%の増収となっています。

2022年度、アジア・太平洋ではトップが入れ替わり、Deloitte、PwC、EY、そしてKPMGというランキングになっています。

Deloitteはアメリカ大陸に続きこのエリアでも1位となり、強さを見せています。

PwCも2位に転落したとはいえDeloitteとの差は僅かなものであり、2022年度も2桁の増収を記録しています。

一方、4位のKPMGはDeloitteとPwCの6割強にとどまっており、ここでも上位との差は大きく開いています。

最後に

2022年度の4大国際会計事務所売上ランキングを見てきました。

2022年度はコンサルティングやアメリカ大陸における売上がけん引したことで、Deloitteが前期に続きトップとなっています。

DeloitteをはじめとしてBIG4はいずれも増収を達成していますが、Deloitte、PwC、EYが2桁の成長を見せた一方、KPMGは1桁にとどまっており、その差は年々拡大しています。

2023年に入り、世界的な景気減速の懸念やKPMGの従業員削減に関する報道、EYにおける監査・コンサルティングの分割計画など、業界を取り巻く環境には大きな変化が生じていますが、引き続きBIG4の動向をウオッチしていきたいと思います。

 

【参考・出典】

各社の業績は以下を参照

Deloitte: 2022 GLOBAL IMPACT REPORT

PwC: Global Annual Review 2022

EY: EY Value Realized 2022

KPMG: ホームページのCorporate reporting及びプレスリリース「KPMG delivers strong global revenues, reporting 14% growth in FY22」(2022/12/13)

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