個人事業主の所得税額の計算方法を解説
個人事業主の方の納めるべき所得税額の計算方法、つまり、確定申告を行なうための計算手順を簡単に示せば、以下のようになります。
1月~12月の年間収入額を計算する
1月1日〜12月31日までに事業活動の結果として得られた収入(事業収入)をすべて計算します。
事業収入には、それぞれの事業から生ずる売上の金額に加えて、次のようなものも含まれることになっています。
イ 金銭以外の物や権利その他の経済的利益の価額
ロ 商品を自家用に消費した場合や贈与した場合のその商品の価額
ハ 商品などの棚卸資産について損失を受けたことにより支払を受ける保険金や損害賠償金等
ニ 空箱や作業くずなどの売却代金
ホ 仕入割引やリベート収入
(引用:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1350.htm)
その年の収入額から経費や所得控除を差し引き、課税所得額を計算する
事業収入を計算したら、次に収入額から経費や控除を差し引いていきます。
まず、事業活動に必要な経費(必要経費)を差し引きます。
すべての支出が必要経費として認められるわけではないので注意してください。
収入を得るために直接必要となる売上原価や販売費、管理費その他費用が必要経費となります。
必要経費となる支出はたとえば、次に掲げるようなものです。
イ 売上原価
ロ 給与、賃金
ハ 地代、家賃
ニ 減価償却費
(引用:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1350.htm)
なお、家事上の経費(生活している家の家賃、水道光熱費など)は原則として必要経費になりませんが、このうち事業所得を得るために必要である部分について明らかに区分できる場合には、その部分に相当する経費の金額を必要経費とすることも可能です。
収入額から必要経費を差し引いた後、控除を差し引いていきます。
控除とは、課税所得を計算する際に個人事業主の方の個人的事情を考慮するための制度です。
個人事業主の方が利用可能な控除は、以下のように数多く存在しています。
- 雑損控除
- 医療費控除
- 社会保険料控除
- 小規模企業共済等掛金控除
- 生命保険料控除
- 地震保険料控除
- 寄附金控除
- 障害者控除
- 寡婦控除
- ひとり親控除
- 勤労学生控除
- 配偶者控除
- 配偶者特別控除
- 扶養控除
- 基礎控除
(引用:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1100.htm)
これらの控除を適用するためには、基礎控除を除いてそれぞれの条件に合致している必要があるので注意してください。
課税所得額を算出したあと税額を計算する
収入金額から経費と控除を差し引くことで課税所得(課税される所得金額)が計算されます。
課税所得に応じて、適用される税率が以下のように決まっています。
課税される所得金額 | 税率 |
1,000円 から 1,949,000円まで | 5% |
1,950,000円 から 3,299,000円まで | 10% |
3,300,000円 から 6,949,000円まで | 20% |
6,950,000円 から 8,999,000円まで | 23% |
9,000,000円 から 17,999,000円まで | 33% |
18,000,000円 から 39,999,000円まで | 40% |
40,000,000円 以上 | 45% |
(引用: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm)
個人事業主が確定申告するときの2つのポイント
個人事業主の方が確定申告をする場合は、以下の2つのポイントに注意が必要です。
1. 個人事業主は帳簿をつける必要がある
個人事業主の方は、1年間の所得額を適切に計算して確定申告を行なう必要があります。
これを行なうためには、収入金額や必要経費に関する状況を適切に記録しておかなければなりません。
そのため、個人事業主の方は取引の記録をノートなどに行なう記帳が必要です。
記帳の方法は、青色申告を行なう場合には、複式簿記という記録方法を使って記帳する必要があります。
白色申告の場合には、収入と支出がわかるように記録する必要があります。
近年では、具体的な記帳方法がわからずとも、確定申告に対応した会計ソフトを利用すれば簡単に記帳を行なうことができるので便利です。
2. 個人事業主は収支を証明する書類を保管する必要がある
確定申告を行う個人事業主の方は最大で7年間、帳簿や収支を証明する書類を保管する義務があります。
青色申告を行っている個人事業主の方は、以下の帳簿と書類の保存が必要です。

※ 前々年分の事業所得及び不動産所得の金額が300万円以下の方は5年
(引用元:https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shotoku/kichou01.pdf)
一方、白色申告で確定申告を行っている個人事業主の方は、以下の帳簿と書類の保存が必要となります。

(引用元:https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/01_2.htm)
まとめ
個人事業主の方は、原則として金額に関わらず確定申告が必要です。
また、事業収入と飛鳥経費の証拠となる帳簿や書類の保管も必要となるので注意してください。
確定申告を行なうことは面倒だと思っている個人事業主の方も多いかも知れませんが、確定申告をしないと控除が利用できなかったり、罰則が適用される可能性があります。
期日までにきちんと確定申告を行なうことが大切です。
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