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富裕層の申告漏れ、3割増の516億円 

国税当局の富裕層への調査が厳しくなる中、申告漏れなどの非違を指摘される割合が高くなっていることが分かった。国税庁が公表した平成27事務年度所得税及び消費税調査等の状況によると、富裕層の所得税の申告漏れが3割増しの516億円まで増加。さらに分析していくと、1件当たりの申告漏れ金額も増えている。

実施調査の79.5%から非違を把握

平成27事務年度(2015年7月から2016年6月まで)の1年間に実施された富裕層の所得税の実地調査状況は、4377件(前年度比0.4%増)に行われ、79.5%に当たる3480件(同1.9%増)から516 億円(同32.3%増)の申告漏れ所得金額を把握し、120億円(同1.9%増)を追徴している。実に、実施調査に入ったら約8割の確率で申告漏れを指摘されるということが分かる。これは相続税調査と同じ割合で、国税当局の富裕層調査への力の入れようが分かるデータだ。1件当たりの申告漏れ所得金額も特別調査877万円、一般調査941万円よりも高額で1179万円(同31.9%増)。追徴税額は273万円(同18.2%増)となっている。
各局をみていくと、関東信越国税局692件のうち非違件数582件(84.1%)、東京国税局1584件のうち非違件数1273件(80.3%)、名古屋国税局642件のうち非違件数511件(79.6%)と全国平均を超える確率で申告漏れを指摘されている。特出しているのが、金沢国税局で実施調査に入った24件すべてで非違を指摘している。

出典:国税庁HP報道発表資料「平成26~27事務年度における所得税及び消費税調査等の状況について」を引用し作成。

国税庁が公表している資料から、国税局別の申告漏れの非違件数ベスト3は、東京国税局1273件、名古屋国税局511件、大阪国税局310件、となっており、東京、名古屋、大阪の3国税局で全体の47.8%を占めている。
国税庁別追徴税額のベスト3は、東京国税局59億円、名古屋国税局14億5千万円、大阪国税局9億円となっており、東京、名古屋、大阪の3国税局で全体の68.8%を占めていることが分かる。
この3国税局には平成26年7月から、富裕層調査の専門チームが設置されており、

▽国税庁 この部署が「富裕層」「海外資産」情報を集めている!
https://kaikeizine.jp/article/3609/

1人当たりの申告漏れ所得金額は、東京国税局で前年度比46.2%増の1639万円、名古屋国税局で同24.1%増の710万4千円と急増していることが分かる。こうした結果から、専門チームを設置し情報収集の段階から力を入れている国税局の成果が数字として表れている。

過去5年間の富裕層に対する実施調査をみていくと、調査件数は平均で4321件と毎年概ね同じ件数で推移しているものの、実施調査の件数に対し、非違が把握された割合は、平成23事務年度76.3%、平成24事務年度77.6%、平成25事務年度78.5%、平成26事務年度78.3%、平成27事務年度79.5%と5年前と比較すると3.2%増加している。
実施調査件数は、毎年ほぼ横ばいにも関わらず、非違割合は高くなっており、担当職員を増やせない状況下で深度ある調査が行われていることが伺がえる。

国税当局は今後、全国11局(札幌、仙台、関東信越、東京、金沢、名古屋、大阪、広島、高松、福岡、熊本)・1所(沖縄)の12に、富裕層調査の専門チームを設置していく予定としている。

参考:国税庁HP
https://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2016/shotoku_shohi/sanko04_01.htm
https://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2015/shotoku_shohi/sanko04_01.htm
https://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2014/shotoku_shohi/sanko04_01.htm
https://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2013/shotoku_shohi/sanko04_02.htm

著者: KaikeiZine編集部

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