国税OB税理士が監修。公認会計士・税理士・会計事務所・企業経理担当、税金・会計に関わる“会計人”がいま必要な情報をお届けします!

会計人ニュース

注目キーワード

税理士 試験組を試験免除者が猛追 20年で1万7千人増加

12月16日には、“税理士のタマゴ”の税理士試験合格者の発表があるが、税理士数は緩やかに増加中だ。その税理士の登録者数は、平成27年12月末で7万5643人。税理士は日本税理士会連合会(日税連)の名簿に登録する必要があり、試験に合格しただけでは税理士とは名乗れない。その税理士登録者だが、この数年は試験を免除された、いわゆる「免除税理士」が急増している。なぜ今、免除税理士が急増しているのか……。

税理士になるためには、基本的には「簿記論」「財務諸表論」と、税法3科目の合計5科目の試験に合格する必要がある。この5科目は積み上げ方式で、いっぺんに全科目合格しなくても、最終的に5科目合格となれば税理士資格が得られる。そのため、5年で5科目合格を目指す受験生も少なくないが、最近はこれもかなり難しい状況だ。
税理士資格を得るためには、試験にパスするか、大学院での修士号取得による試験免除の方法がある。試験免除は、大学院で税法関係の修士号もしくは会計関係の修士号を取得すれば、科目、試験が免除されるもの。残りについては税理士試験に合格する必要がある。ただ、平成14年3月31日以前に大学院に進学した人は、法学関係、会計関係ともに修士号を取得すれば、法学修士なら税法3科目、会計系修士なら「簿記論」「財務諸表論」の2科目が免除された。税理士資格取得の“ウルトラC”といわれ、一世を風靡したのは法学、会計系大学院の2つで修士号取得をする「ダブルマスター」だ。ダブルマスターなら、無試験で税理士資格が取得できるとして、税理士の2世を中心に活用された。
このほか、公認会計士や弁護士なら、一定要件をクリアすれば無試験で税理士になれる。
つまり、税理士になるルートはいくつもあるわけだが、最近は全税理士に占める割合として、試験免除ルートが急増している。
20年前の平成7年12月末には、試験免除者の登録は9482人だったが、10年後の同17年末には1万6653人、20年後の同27年末には2万6016人となっている。つまり、20年で1万7千人増えたわけだ。
一方で、登録者として最も多い試験合格者だが、平成7年には2万4811人、20年後の同27年には3万4531人と、20年で1万人しか増加していない。つまり、現状では、税理士は試験合格者より、全部もしく一部試験免除者の方が増えていることがわかる。

免除者が増えている理由としては、税理士試験が難しくなっていることが上げられる。「1科目ごとの試験内容だけを見たら公認会計士試験より難しい」(都内公認会計士)との指摘も聞かれ、「資格取得に時間を費やすよりも、早く資格を取って実務経験を積んだほうがよい」という受験生は多い。10年以上前は、税理士業界として試験免除者を嫌う傾向が強く、中には最終学歴を大学までとし、大学院についてはあえて経歴から消している税理士もいた。
このほかの要因としては、大学側が学生集めのため、税理士を目指すための専門コースを設けるケースが増えたことも大きい。かつての大学院修士号取得による税理士試験免除は、ウルトラCを使えば、無試験で税理士資格をことから、“秘め事”のように、一部の人の間で活用されてきた。ところが、免除制度が見直され、2科目以上は試験合格しないと資格取得ができない状況になると、学生にとっては逆に活用しやすくなったようなのだ。大学側からすると、卒業生に税理士資格者が増えれば、国家資格者輩出の経歴として大きな実績になる。税理士を目指す側、大学側の双方の利害が一致したことも免除者増の要因のひとつになっているのだ。

著者: 宮口貴志

KaikeiZine編集長

税金の専門紙「納税通信」、税理士業界紙「税理士新聞」の元編集長。現在は租税研究会の事務局長であり、会計事務所ウオッチャーとしても活動。
■税と経営の顧問団租税調査研究会
https://zeimusoudan.biz/
■KaikeiZine
https://kaikeizine.jp/

ページ先頭へ