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顧客要求が高度化!多様化する税理士ニーズ<その1> 総合型、海外進出、事業再生、資産税etc 業務品質も二極化へ

顧客要求が多様化し、税理士の活躍の場が広がっている。専門家ならではの高度サービスでビジネスの裾野を広げ、大手会計事務所では税務・会計のワンストップサービスを積極展開している。成長著しい事務所の中には、強みを打ち出し、国際業務、事業再生・再編をはじめ大企業向けの税務支援などの各分野で力を発揮している。税理士業界の最新ビジネス動向を探った。

他の税理士事務所では真似できない専門、高品質サービスで成長している事務所が急増

記帳代行業務や巡回訪問は、税理士事務所の安定経営の基礎を作り、画期的なビジネスモデルとなったが、税務・会計ソフトの発展が報酬の低価格化を加速。そこでITでは代替できない税の専門家ならではのサービスを主軸に、市場開拓している事務所が急成長している。

税理士業界でメジャーなのがビッグ4だが、多様化する顧客ニーズに対応するためサービスの新陳代謝に余念がない。クライアントは、大企業やその子会社、外資系企業がほとんど。そのため顧客から求められるサービスの要求は高く、税務問題に絡むことならばほぼサポートする。ビッグ4の一番の強みは、グローバルな経済活動にも対応するため、グループ会社や監査法人、世界的なネットワークをベースに最先端のサービスを提供している点。業務内容は、各社それほど大きく変わらない。ただ、強み、風土、戦略が違う。

出自は、アーンスト・アンド・ヤングとプライスウォーターハウスクーパースがイギリスのロンドン、デロイト・トウシュ・トーマツは、アメリカのニューヨーク、KPMGがオランダのアムステルダムを本拠地にしている。日本の税理士法人は、このグローバルな組織の一員。事務所風土も少なからず出自に影響している。

税理士法人プライスウォーターハウスクーパース(PwC)と、新日本アーストアンドヤング(EY)税理士法人が東京、名古屋、大阪に視点を設けており、EYは昨年、ビッグ4で唯一沖縄に視点を設けた。税理士法人トーマツは、国内ネットワークとして大阪、名古屋、鹿児島、京都、長野、北陸、浜松、新潟、仙台、札幌、高崎など17事務所と連携し、特色を出している。

ビッグ4に肩を並べる大規模事務所もここ10年で多くなった。
税理士法人山田&パートナーズや税理士法人みらいコンサルティング、東京共同会計事務所、朝日税理士法人、アクタス税理士法人などだ。どの事務所も税理士などの資格者を多数雇用し、ビッグ4と同様のサービスを提供している。なかでも、みらいコンサルティングは、中小企業の事業再生・再編に力を入れており、東京共同会計事務所は、環境ビジネスに積極的に取り組んでいる。

これまでビッグ4の独占市場でもあった大企業やその子会社の財務・会計サポートを手がける事務所も出てきた。大手企業では、連結会計、連結納税などに対応する必要があり、高度な税務判断が求められる。また、コンプライアンスの問題から、正しい会計処理が不可欠だ。そのため、関与する税理士事務所が通達や判例はもちろんのこと、先例がなければ法解釈のアドバイスなども行っている。

また、企業活動のグローバル化に伴い、中小企業も海外に拠点を設けるケースが増えたが、税理士事務所の中からも、こうした海外進出や国際税務などのサポートに力を入れる事務所も増えてきた。これまでビッグ4の独壇場だった国際市場に打って出る事務所は、小回りの良さや、価格による優位性で急成長している。

そもそもビッグ4の顧客層とはかぶらない中小企業マーケットで勝負しているため、ライバルはまだ少ない。

中小企業の海外進出・現地での経営をサポート

成長市場であるアジアを中心に、大企業だけでなく中小企業の海外進出も活発化。それにともない、ビッグ4以外の税理士事務所も海外進出から現地での会計・税務、さらには駐在するクライアントの社員の確定申告などもサポートする。また、国際業務の一環として富裕層の資産移転・運用ニーズが高まっている。

また、外資系企業の日本進出をサポートしている事務所もある。
法人税務以外にも従業員である外国人の個人申告などのサポートもしており、首都圏を中心に事業を拡大している。今後、こうした“国際ビジネス”市場は、さらに成長していくと見られている。

バブル崩壊後、リーマンショックなどが引き金となり成長したのが事業再生・再編業務だ。大手の総合サービスを提供する事務所のほとんどが取り組んでおり、金融機関との連携で仕事を受けるケースが多い。金融機関から仕事を依頼される事務所は実力ある事務所で、全国でもそれほど多くない。

 

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著者: 宮口貴志

KaikeiZine編集長

税金の専門紙「納税通信」、税理士業界紙「税理士新聞」の元編集長。現在は租税研究会の事務局長であり、会計事務所ウオッチャーとしても活動。
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