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国際税務にビジネスの匂い 実は少ない税の専門家

税理士で、国際税務に目が向いているまだ人は少ない。「国際税務」をテーマにした書籍は、ほとんど売れず、セミナー集客もいまいちだ。一方で、国は国際税務に関しては、課税強化の方向で進めており、富裕層の多くが専門家のサポートを必要としている。ただ、誰に頼めば間違いないのか、市場に情報がほとんど出回っていないのが現状だ。顧客ニーズとの乖離を埋める税理士が出てくるのか、2016年の会計事務所業界から目が離せない。

数年前、「このまま課税強化したら富裕層は海外に資産をますます移す」「海外に居住地を移す」など言われた。インターネットが発達し、世界どこでも仕事ができると、経営者は日本に縛られている必要がない。こうした懸念が年々深刻化し、いよいよ日本も、国をまたいだ租税回避にストップをかけた。
BEPS(ベップス)という言葉を最近耳にする機会も増えたと思うが、このBEPSこそ、国際的租税回避にストップをかけるきっかけとなっている。この世界の動きを敏感にキャッチしていくことで、税の専門家のビジネスは広がる。とはいうものの、国際税務を手がける税理士、公認会計士はごくわずか。顧客ニーズはあるのだから、この分野で抜きに出るのは早い者勝ち。情報収集をしながら、対応できる状況は作っておきたいものだ。
昨年、某大手会計事務所の代表が、「うちは国際に暫く力を入れない。同じ努力をするなら、国内でやることがまだある」と言っていたが、1年後、ASEANの支店を増設していた。
国際税務に関しては、現地の会計事務所やコンサルティング会社などとの連携も不可欠。たとえば、アジア市場ですでに大きな勢力になっている会計事務所として、マイツグループ(代表=池田博義氏)やNAC国際会計グループ(代表=中小田聖一氏)、SCS Globalグループ(代表=少徳健一氏)などが上げられる。
こうした会計事務所とネットワークを持つことや、国内においても同業者間の国際税務に強い専門家との連携も重要だ。
国際税務に強い専門家の見極め方は、
1、国際税務部門出身の元国税職員
2、ビッグ4税理士法人(注)で国際税務を担当者
注*EY税理士法人、税理士法人トーマツ(DTT)、KPMG税理士法人(KPMG)、税理士法人プライスウォーターハウスクーパース(PwC)
3、会計事務所で海外支店に居た経験者
という人だ。
この当たりの人脈を作っておく、情報収集しておくことがステップとして大事。ベタな活動だが、国際税務の勉強会やセミナーなどに参加し、講師と名刺交換しておくのも一つの方法だ。
国際税務は、「個人」「法人」、両面出てくる。実は、税理士も知らないうちにクライアントが海外進出していたとの話も少なくない。企業が海外進出していくとき、その相談は金融機関にするケースが多く、金融機関から国際税務に取り組んでいる会計事務所を紹介されること多い。今や中小企業も海外に工場や支店を設ける時代。税の専門家として、アジアを中心に経済情報及び、国際税務の動き、人脈などの最低限の情報は入手不可欠になっている。

 

著者: 宮口貴志

KaikeiZine編集長

税金の専門紙「納税通信」、税理士業界紙「税理士新聞」の元編集長。現在は租税研究会の事務局長であり、会計事務所ウオッチャーとしても活動。
■税と経営の顧問団租税調査研究会
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