コロナ禍の3年間で最も存在感を高めたのが動画コンテンツ。5類への移行を果たし、日常を取り戻しつつある現在においてもその勢いに陰りは見えません。

この記事の目次

営業利益を増やすべく、地代家賃を抑えたい。

会計本来の役割ですが、改めて見ると「ビジネス→会計」なる一方通行です。

会計を見据えながらビジネスを考えるという視点を加え、目線を2車線にする。

両者の横断を可能にすれば、間違いなくいずれの精度も向上します。

ビジネスから会計、会計からビジネス第6回は、「コンテンツ」です。

コンテンツ市場と種類

もはや日常生活において、コンテンツに一切触れることなく過ごすことはほとんど皆無でしょう。

事実、私たちを取り巻くコンテンツビジネスの規模は想像以上に巨大化しています。

経済産業省が毎年発表する情報通信白書によると、その市場規模は11兆8275億円(2020年)。

コンビニエンスストア(11.1兆円)や医療用医薬品(10.6兆円)を凌ぐ規模です。

この巨大な市場は、以下の3つに分類することができます。

1)デジタルコンテンツ

ニュースサイトや電子書籍、音楽や動画配信など

2)モバイルコンテンツ

SNSやニュース、天気などのスマホアプリ

3)WEBコンテンツ

WEB上の記事やサービスやソーシャルコンテンツなど

※新聞や雑誌、書籍などはアナログコンテンツと呼ばれ、別市場を形成しています。

日頃、スマートフォンやタブレットなどを通して利用する分にはさほど気にならない類型ですが、ビジネス、そして会計面から眺望した際には、少なくない差異があります。

ビジネスと会計の視点

まず、ビジネスです。

ビジネスにおけるコンテンツには売上に対して直接と間接の2つの側面があります。

直接はコンテンツそのものを商品として扱うケースです。

上記の3種類のうち、1)が該当します。

定額で利用できる音楽や動画配信サイトなどがそれです。

残りの2)と3)は間接型です。

直接的な売上を狙うのではなく、コンテンツの品質によって、利用者に対する企業や商品のイメージ向上を狙うものです。

その目的は広告や集客、もしくは採用です。

一昨年、インターネット上の広告宣伝費が、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌の4大オールドメディアをその出稿規模で抜き去ったことで大きな話題になったことからも、この運用は今後も伸長することは明らかです。

 

続けて、会計面を確認してみましょう。

会計において、よく目にするのが資産としてのソフトウェアですが、旧来からあるソフトウェアと近年膨張し続けるコンテンツは処理上明確に切り分けられています。

自社で制作した業務システムや購入したパッケージなどがソフトウェアに該当し、それらを用いて処理するデータ類のことをコンテンツとされています。

例えば、音楽ソフトがソフトウェア、それを使って作った楽曲がコンテンツというわけです。

ただ実務ベースでは、まだまだ線引きが不明瞭な部分が残っているのも現実です。

例えば、映画などの映像コンテンツ。

棚卸資産に計上したうえで、映画封切時に85%を償却し、残り15%を次期6カ月で償却するというケースや、有形固定資産でカウントし、定率法で償却といった方法が各企業主体で混在しています(ゲームコンテンツに至っては、研究開発費として即時費用化するケースも)。

こうした状態の最中で、その巨大な存在感とは裏腹に実務的な会計処理の枠組みの中でうまく整合性が取れていないのが、3)のWEBコンテンツです。

現下では、もっぱら費用扱いです(通信費、サーバー、運用人員の人件費等)。

詳しく述べるまでもなく、1)や2)のコンテンツに比べ、販売価格や購入金額のようにその実体を数値化することが困難なためです。

とはいえ、You Tubeの動画を始め、実態としてもはや単なる費用とは言い切れないものになっているのも確かです。

言い換えれば、ビジネス上の資産化です。