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平成29年度税制改正大綱 いよいよタワーマンション節税封じ

自民党と公明党は12月8日、平成29年度税制改正大綱をまとめた。今回の改正は、共働き世帯や中小企業への減税が目玉で、税収減や家計、企業の負担増を避けようとするあまり、全体的には小粒な内容となっている。資産家や税理士らが注目していたタワーマンションについては、固定資産税と取得税が見直されることになる。

平成29年度税制大綱の目玉は、配偶者控除の見直し。大綱では、所得税の配偶者控除を満額受けられる配偶者の年収上限を、現行の「103万円」から「150万円」に引き上げ、年収要件を緩和する。時給1千円なら、いまより月40時間ほど長く働いても、世帯主の所得税負担が高くならない。ただ、150万円を超えても201万円以下までは、段階的に縮小されるものの、配偶者特別控除が受けられる。ただし、世帯主の年収に制限を設け、1220万円超は控除が受けられない。財務省の試算では、約300万世帯が減税となる一方、約100万世帯が増税になる見通しだ。

給与増額で法人税減税措置を拡大

所得拡大促進税制は、青色申告法人が、平成25年4月1日から平成30年3月31日までの間に開始する各事業年度において、国内雇用者に給与を支給する場合、適用対象年度の給与支給額や平均給与支給額などに基づく一定の要件を満たす場合に、税額控除が認められるというもの。この国内雇用者とは、法人の役員の特殊関係者や使用人兼務役員を除く使用人で、国内事業所に勤務する雇用者。一定の要件は、給与総額を平成24年度比で3%以上増加させ、給与総額と平均給与額が前期を上回ること。これらを全て満たした場合に、給与総額の増加分の10%を法人税額から控除できる。今回の改正で、新たに「前年度比2%以上の賃上げ」という要件を設定し、その際の控除率は現行より引き上げ、企業規模で控除率に差を設ける。中小企業は増加分の22%となり、大企業でも12%となる。
資産家や税理士などから注目されていた「タワーマンション節税」については、高層マンションの固定資産税・不動産取得税が見直される。現状は、一棟の評価額は階数に関係なく、床面積が同じであれば固定資産税額は同じだが、改正後は、平成29年度以降に販売される高さ60メートル超(おおむね20階建て以上)の新築高層マンションを対象に、高層階ほど増税になり、低層階ほど減税となるようにする。
不動産経済研究所(東京・新宿区)のリポートによれば、2017以降に完成するタワーマンションは、首都圏で17年に29棟、18年25棟、19年20棟、20年以降47棟となっている。近畿圏では、17年10棟、18年12棟、19年15棟としている。このほか、地方都市でもタワーマンションの建設がかなり見込まれているが、税制が見直されると、高層階の販売にどう影響してくるのか注目される。

研究開発促進税制に「第4次産業革命型」を追加

研究開発促進税制については、対象にIoT、ビックデータ、人工知能等を活用した「第4次産業革命型」のサービス開発のための試験研究に係る一定の費用を新たに追加する。さらに、研究開発費の総額に対する減税、いわゆる「総額形」と、開発費が過去3年の平均より増加した場合の減税、いわゆる「増額型」の2種類を、増加型に一本化した上で、控除割合を6~14%、中小企業は12~17%に見直す。
このほか、今回の改正では、最長20年、年間投資上限40万円の積立型NISA(少額投資非課税制度)の創設、ビール系飲料の税額を平成32年10月から同38年10月にかけて3段階で統一していくこと、エコカー減税として、燃費基準を段階的に引き上げ、減税対象を絞り込んだ上で延長することなどが盛り込まれた。
タックスヘイブン対策税制については、「外国子会社合算税制」を見直し、いわゆる「トリガー税率」を撤廃。日本より税率の低い国にある子会社は、軒並み合算税制の対象とする。つまり、原則として海外子会社の所得を日本本社の会社の所得に合算することになるわけだ。現行のタックスヘイブン対策税制は、トリガー税率である「20%未満」を下回る国にある海外子会社の所得だけが合算の対象になっているため、今回の改正で中国、韓国、タイ、マレーシア、インドネシア、イギリスなどにある子会社が含まれることになる。
国際絡みでは、相続税逃れを防止するため、海外居住の“5年ルール”を見直すことで、富裕層の相続税逃れをシャットアウトする。現行は相続人と被相続人がともに海外に5年以上住んでいれば、海外資産に相続税はかからないが、これを「10年超」海外に居住していなければ海外資産に課税する。
法律以外の改正事項では、相続税の財産評価のうち、取引相場のない株式の評価、広大地の評価を見直す。

今後の税制改正のスケジュール

今後の税制改正のスケジュールだが、政府は12月末までに閣議決定を行い、平成29年1月中に関連法のどの条文を改正するかなどの概略をまとめた「税制改正要綱」を取りまとめる。例年なら2月ごろに税制改正要綱および関連法の改正法案を国会に上程。3月末までには改正法が成立し、3月31日に公布、4月1日施行という流れとなる。

著者: 宮口貴志

KaikeiZine編集長

税金の専門紙「納税通信」、税理士業界紙「税理士新聞」の元編集長。現在は租税研究会の事務局長であり、会計事務所ウオッチャーとしても活動。
■税と経営の顧問団租税調査研究会
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