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税理士業界は高齢化の一途 若手税理士は法人設立傾向色濃く

税理士試験の合格発表時期になると、話題になるのが税理士試験合格者の「年齢」だ。平成27年度の合格者の半分以上が36歳以上であり、税理士登録する税理士の高齢化が進んでいる。税理士登録者の平均年齢はなんと60歳を越えるといわれ、これを年齢層別に見ると顕著に分かる。

基本的に税理士になるためには、「簿記論」「財務諸表論」と「税法3科目」の合計5科目に合格し、2年以上の実務経験を積む必要がある。試験は、積み上げ方式のため、5科目合格するのに何年かかっても構わない。つまり、毎年1科目ずつ合格し、最終的に5年で5科目合格でも税理士になれるわけだ。
大学院で修士号を取得し、国税審議会の審査に通れば、一部試験科目が免除になるものの、一定科目は試験合格しなければならないほか、実務要件は変わらない。そのため、税理士として仕事をするためには、かなりのハードルをクリアしならず、資格者の高齢化が税理士業界の課題にもなっている。
日本税理士会連合会が2015年にまとめた「第6回税理士実態調査」を見ると、アンケートを実施したころには、税理士登録者は7万3~4万人いるなかで、20歳代で税理士登録しているのはわずか0.6%。40歳以下でも11%に満たない。一番多い年齢層が、60歳代で全体の約30%を占める。

60歳以上で見てみると53.8%を占め、一般サラリーマン社会からしたら、定年退職後の年齢層が第一線で活躍していることを伺える。税理士業界では、よく「40歳代はまだひよっこ」「50歳代でやっと一人前」と言われるが、業界全体で50歳までは修行中というイメージがある。
表の中の「開業税理士」は、独立開業している税理士を指し、一般的には個人事務所を経営している。一方で、「社員税理士」は独立開業しているものの、「税理士法人」を経営している税理士であり、一般企業でいうところの役員だ。「所属税理士」は、どこかの会計事務所に勤務している税理士であり、会社で例えるならサラリーマンとでも言えるだろう。
上記表から分かる通り、所属税理士として多いのは20~40歳代であり、この年齢層で全体の74%を占めている。
当然、開業税理士は少なく、この年齢層独立開業者は18.6%しかおらず、50歳以上で80.9%を占める。ただ、税理士法人という会社形態の会計事務所でみると、20~40歳代で38.3%と2倍強に増える。税理士事務所業務が複雑化・広範囲化していくなかで、比較的若い層の税理士は、一人親方というよりも、会社のように複数人経営を選択するケースが増えているわけだ。税理士法人数は現在、3417法人(平成28年11月現在)あり、毎年200法人ずつ増え続けている。若手税理士の開業手段としては、税理士法人が選択されることは今後さらに増えることが予想される。今後は、ベテラン税理士は「個人事務所」、若手税理士は「税理士法人」という色が鮮明になっているかもしれない。

著者: 宮口貴志

KaikeiZine編集長

税金の専門紙「納税通信」、税理士業界紙「税理士新聞」の元編集長。現在は租税研究会の事務局長であり、会計事務所ウオッチャーとしても活動。
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