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祖父母の一括教育資金贈与 多額な出費の学習塾などに活用

新学期のはじまる4月、子どもがいれば、何かと教育費系出費が多くなる季節だ。親に子どもの教育費を援助してもらうケースも少なくないが、祖父母がまとまった教育資金を孫のために提供するなら、教育資金の一括贈与制度という手もある。2019年3月までの期限付制度だけに、有効活用したいものだ。

2013年4月から導入された「教育資金の一括贈与制度」。これまであまり気にしてこなかった人も、新学期がはじまり、子どもが教育費のかかる年齢になってくればとりあえず中身は抑えておくべきだ。
教育資金の一括贈与制度は、直系尊属(たとえば、曽祖父母、祖父母、父母等からの贈与)が、子・孫に教育資金を一括して贈与する場合に、子や孫ごとに1500 万円までを非課税にするというもの。具体的には、贈与資金を金融機関において子・孫名義の口座等により管理し、この資金が教育費に使われることを金融機関が領収書等により確認・記録、保存する。口座は、子・孫が30歳に達する日に終了し、この時点で残余財産が残っていれば、その分に贈与税が課税される。適用期限が決まっており2019年3月までだ。

勘違いされているのが、配偶者の直系尊属は含まれない点。ただ、民法727 条に規定する養子縁組により親族関係がある場合は含まれる。また、叔父・叔母や兄弟からの贈与は対象外だ。
対象となる金融機関は国内に限り、外国に所在する金融機関および日本の金融機関の海外支店は含まれない。転勤で海外暮らしの場合、この点注意したい。

教育資金の範囲については、
(1) 学校等に対して直接支払われる次のような金銭
① 入学金、授業料、入園料、保育料、施設設備費又は入学(園)試験の検定料など
② 学用品の購入費や修学旅行費や学校給食費など学校等における教育に伴って必要な費用など

この「学校等」とは、学校教育法で定められた幼稚園、小・中学校、高等学校、大学(院)、専修学校及び各種学校、一定の外国の教育施設、認定こども園または保育所などとされている。また、「保育所に類する施設」「専修学校,各種学校」については、細かな条件があるので注意したい。

「学校等」とは

(2)学校等以外に対して直接支払われる次のような金銭で社会通念上相当と認められるもの

<イ 役務提供又は指導を行う者(学習塾や水泳教室など)に直接支払われるもの>
① 教育(学習塾,そろばんなど)に関する役務の提供の対価や施設の使用料など
② スポーツ(水泳,野球など)又は文化芸術に関する活動(ピアノ,絵画など)
その他教養の向上のための活動に係る指導への対価など
③ ②の役務提供又は④の指導で使用する物品の購入に要する金銭

<ロ イ以外(物品の販売店など)に支払われるもの>
④ ②に充てるための金銭であって,学校等が必要と認めたもの
⑤ 通学定期券代
⑥ 留学渡航費,学校等に入学・転入学・編入学するために必要となった転居の際の交通費

となっている。
専用口座から払い出した後、教育資金に充てていなかった場合は課税される。あくまで、教育資金というのが大前提だ。

私立の小・中・高・大学への進学、海外への留学など、子どもの教育にはかなりのお金がかかるのも確か。教育資金贈与については、そもそも孫に祖父母が学費を都度工面しても現在も課税されていないが、先々を考えて、今のうちにまとまったお金を孫などに残しておきたいと思う人は活用すべき制度だ。

現実問題として中学受験、高校受験のために学習塾に通った場合、一体、総額いくらぐらいかかるものなのか。たとえば、中学受験をする場合、進学塾に通わせるのが一般的だが、受験対策は小3の終わりの2月から始まる。筆者が調べたところによると、おおよその算出で、日能研などの大手で、3年間200万円ぐらいになる。内訳としては、小4約45万円、小5約65万円。6年生になると一気に上がって約100万円というところだ。学年が上がるにつれ金額が上がるのは、通塾日数も増え授業料自体もやや高くなるからだ。また、オプション講座も増え、受験直前の6年生は志望校対策などの選択講座や夏や冬の季節講習などのオプション部分が多くなり、授業料は一気に高くなる。他の受験対策塾としてはSAPIX、早稲田アカデミーが小6で約120万円と高く、四谷大塚も約100万円となっている。栄光ゼミナールや市進学院は多少下がってくる。
こうした学習塾では、授業料のほかに教材費、定例テスト代、模試、対策講座、季節講習などいろいろとかかるの実情だ。

御三家(男子校の開成・麻布・武蔵、女子校の桜蔭・女子学院・雙葉)といわれる超難関校に強いといわれるSAPIXでは、小4コースから教材量が多く、授業時間も長い。早稲田アカデミーは小4、小5の授業料はむしろ低いが小6コースから費用が掛かってくる。たとえば4泊5日の夏期合宿は8万円を超える。

いずれにしても、これだけの授業料を掛けられるのは、親にそれなりの所得があるか、祖父母からの援助があってこそ。単にお金を残すのでなく、教育のために贈与していくことは意味がある。優秀な人材輩出は、将来の日本の国力になるだけでなく世界の財産だ。教育こそ次世代のための有意義なお金の使い方の一つだ。期限つきながら、優遇税制ができたのであるから使わない手はない。

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著者: 宮口貴志

KaikeiZine編集長

税金の専門紙「納税通信」、税理士業界紙「税理士新聞」の元編集長。現在は租税研究会の事務局長であり、会計事務所ウオッチャーとしても活動。
■税と経営の顧問団租税調査研究会
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