お店を改善するためには時間が必要なので、優先順位を明確にして取り組む必要があります。その際に活用できるのが、損益計算書の5つの利益です。
損益計算書の5つの利益を確認しよう
都内で居酒屋とイタリアンの2店舗を経営しているFさんは、お店の改善を進めたいと考えていますが、日々のお店の運営に忙殺されて、そのための時間があまり確保できず、どこから手を付けるべきかと悩んでいました。
1~3店舗ほどの飲食店の経営者の場合、自身がお店の現場に出ていることが多く、お店の改善に取り組む必要があるのを分かっていながらも、それにしっかりと取り組む時間をなかなか確保できません。
そうして日々の運営にかまけた結果、改善活動が行えていないお店が多くあります。
つまり、お店の改善活動は、限られた時間の中で効率的に取り組む必要があるわけですが、その優先順位を考える際に役立つのが、「損益計算書」です。
飲食店の儲けを表す数字である利益は、損益計算書を見ると実は1つだけでなく、5つ存在しています。
具体的には、
- 売上総利益(粗利益)
- 営業利益
- 経常利益
- 税引前当期純利益
- 当期純利益
があり、それぞれ持つ意味が異なります。
そのなかでも、業績を把握する際に非常に重要になるのが、1の売上総利益、2の営業利益、3の経常利益です。
1. 売上総利益
売上総利益は、売上から食材やドリンクなどの原価を差し引いて計算されます。
粗利益と呼ばれることもある売上総利益は、商品力によっていくら儲かったのかを表す利益であり、これを見ることで、「商品の魅力によって利益を稼ぎ出す力」を把握することができます。
2. 営業利益
営業利益は、売上総利益から人件費・家賃・水道光熱費などの販売費および一般管理費を差し引いて、計算します。
主たる営業活動(本業)によっていくら儲かったのかを表す利益であり、これを見ることで、「お店の運営によって利益を稼ぎ出す力」を把握することができます。
3. 経常利益
経常利益は、営業利益に常に発生する本業以外の収入(保険収入や賄い収入など)や、支出(銀行への支払利息など)を加味して計算されます。
経常利益は「けいつね」と呼ばれることもあり、その「経常(けいつね)」は「平常なら」を意味します。
つまり、経常利益は特別なことが起きないときの利益であり、これを見ることで、「お店の経営によって利益を稼ぎ出す力」を把握することができます。