インボイス制度の登録方法と事前準備

実際にインボイス制度に登録する場合の手順について解説していきます。

また、インボイス制度開始に伴い事前に準備が必要な事項があるため、そちらも併せて解説していきます。

インボイスの登録手続き3つのステップ

※こちらの記事でも解説しています
インボイス制度の登録番号とは?請求書に関する個人事業主のよくある疑問を徹底解説

インボイス制度の登録は以下の3ステップにより行います。

  1. 申請書の作成
  2. 国税庁へ提出
  3. 取引先へ通知

1. 申請書の作成

まずは申請書をダウンロードして、必要事項を記入します。

紙ではなく電子での申請も可能となっています。

申請書ダウンロードはこちら:国税庁サイト「申請書ダウンロード」

電子申請についてはこちら:国税庁サイト「電子申請について」

事前に準備が必要なものはマイナンバーカードと利用者識別番号になります。

利用者識別番号を入手していない方は、インボイスの登録をする際に一緒に取得できます。

詳細は下記を参考にしてください。

適格請求書発行事業者の登録申請データ作成マニュアル(e-Taxソフト(WEB版))(PDF/5,057KB)

2. 国税庁へ提出

国税庁への提出は電子申請にすると、必要事項の記入から申請までをWEBで一連の手続きにより完了させられるので便利です。

電子申請についてはこちら:国税庁サイト「電子申請について」

紙での申請は、管轄地域のインボイス登録センターに送付します。

郵送による申請手続きはこちら:国税庁サイト「郵送による登録申請手続」

申請後、インボイス登録の審査が行われ、後日登録番号が申請者に通知されます。

3. 取引先へ通知

継続的に取引を行う取引先へは、登録番号や適格請求書の交付・受領方法の連絡を行ってください。

ここで、電子申請をした場合は登録通知書を電子データで受け取ることができ、取引先への通知に便利です。

電子データでの登録通知はこちら:国税庁サイト「電子データによる登録通知について」

インボイスの登録申請はいつまで?

インボイス制度の開始は令和5年(2023年)10月1日からになります。

2023年9月30日までに登録申請書を提出すれば、2023年10月1日の時点で登録を受けていたとみなされます。

期限に間に合わなかった場合、登録番号の申請者への通知が遅れる可能性があり、通知がきてから登録日までさかのぼってインボイスの適用をしなければならなくなるため、そういった手間を回避するために期限に遅れないよう注意しましょう。

インボイス制度導入に際する準備

インボイス制度を導入する場合、消費税申告納付と適格請求書の発行保存義務を負います。

こうした義務に対応するため、売り手と買い手それぞれで準備が必要ですので、個別に解説をしていきます。

売り手(インボイスを交付する側)の準備

売り手(インボイスを交付する側)の準備として、インボイスの交付をするためには消費税の課税事業者でなければいけません。

消費税の申告納付をしていない方は免税事業者になりますので、インボイス交付のために課税事業者になる必要があります。

インボイス制度が開始される、2023年10月1日から2029年9月30日までの日の課税期間中に登録を受ける場合は、登録を受けたその日から課税事業者となる経過措置が設けられています。

本来、課税事業者になるには消費税課税事業者選択届出書を提出する必要がありますが、経過措置期間中であればインボイスの登録申請書のみの提出で課税事業者の登録がされます。

登録申請書が提出されてから、登録番号が通知されるまでの期間の目安は下記になります。

  • e-Tax提出の場合:約1カ月半
  • 書面提出の場合: 約3カ月

なお、提出した登録申請書に誤りがある場合は、内容の確認等が必要になるため上記より期間が長くなる場合があります。

インボイス登録をすることを決めたら、自社が発行している請求書の確認をしましょう。

自社が渡している請求書がインボイスに必要な記載条項を満たしているのかチェックが必要になります。

また、インボイス発行業者には以下の義務が生じますので準備が必要です。

  • インボイスの交付
  • 値引きや返品の明細書等(返還インボイス)の交付
  • 修正したインボイスの交付
  • 交付したインボイスの写しの保存

買い手(インボイスを受け取る側)の準備

買い手(インボイスを受け取る側)が準備することとして、まずインボイス制度を社員へ周知徹底する必要があります。

そして、インボイスを受け取る側も、仕入税額控除を受けるためにインボイスの保存が必要になります。

請求書を受領した場合、登録番号のあるものは管理すること、経過措置の適用を受けるためには従来の区分記載請求書の保存が必要といったことを社内研修等を通して伝え、制度の理解を深めていきましょう。

また仕入先の事業者が、インボイス発行事業者ではない場合、インボイスの交付が受けられなくなるため、継続して取引をする仕入先についてはインボイス制度の開始前にインボイス発行事業者になるつもりかを確認しておくことも必要です。

その際に受け取るインボイスの様式や受領方法についても確認しておくのが望ましいです。

インボイス登録での注意事項

インボイス登録での注意事項として、登録申請をしてから登録番号が通知されるまでにe-Tax提出の場合約1か月半、書面提出の場合約3カ月かかるため、制度導入前に早めに登録申請をしておくことをおススメします。

また、インボイスの導入によって、消費税の負担だけでなくインボイス発行や保管といった経理処理の負担も増加することになります。

インボイス制度の開始に伴い多くの経理システムが対応を行っているため、自社の経理システムや経理業務のワークフローを確認し、この機会に経理システムの新規導入や改修を検討してみてもよいでしょう。

まとめ

インボイス登録をして適格請求書を発行できるようにしておかないと、取引先の会社が仕入税額控除を受けられなくなり、取引関係の変更を求められることが考えられます。

インボイス登録をすると決めた方は、令和5年(2023年)9月30日までに申請を国税庁まで提出するようにしてください。

また消費税の申告納付や、適格請求書の発行保存という経理業務の負担増大に備えるよう、経理システムの導入や改修といった事前の準備をすることでインボイス制度にスムーズに対応できます。


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