3. 「相当の理由」とは

「相当の理由」とは、今回の猶予措置が、電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存要件への対応が困難な事業者の実情に配意して設けられたものであり、例えば、その電子データそのものの保存は可能であるものの、保存要件に従って保存するためのシステム等や社内のワークフローの整備が間に合わない等といった、自己の責めに帰さないとは言い難いような事情も含めて、保存要件に従って電子データの保存を行うことが困難な事情がある場合を対象として措置されたものです。

このため、令和4年末までの宥恕措置は、最終的にはシステム整備をする意向がある旨を税務調査時に口頭で回答してもらうということでしたが、今回の新たな猶予措置は、資金的な事情を含めた事業者の経営判断についても考慮がなされることになります。

ただし、システム等や社内でのワークフローの整備が整っているにもかかわらず、電子取引の取引情報に係る電子データを保存要件に従って保存できる場合や資金繰りや人手不足等のような理由ではなく、単に経営者の信条のみに基づく理由である場合など、何ら理由なく保存要件に従って電磁的記録を保存していない場合には、この猶予措置は適用できないということが国税庁の電子帳簿保存法取扱通達改正により明記されました(国税庁電子帳簿保存法取扱通達7-12)。

したがって、システム導入等で保存要件にしたがった保存を行うための準備しているものの未だ準備が終了していなかったり、資金的な理由から保存要件に従った保存ができない場合にでも、保存義務に対応できるように、個々の事業者の実情に応じてデータ保存義務を履行することが可能となりました。

まとめ

電子取引の取引情報に係る電子データの保存要件への対応が困難な事業者の実情に配意するために設けられた電子取引データ保存制度の新たな猶予措置については、本来の保存要件に従った保存が現段階ではできない事業者に対応するものであり、適用される事業者は限定的になるものと考えられます。

改正後の保存要件の中で、最も自分に適した保存方法を検討し、対応していく必要があります。

保存要件に従ったデータ保存がなければ、その書類の保存はないこととなり、その事実関係を別途説明する必要がある可能性をあることも踏まえて準備しておく必要があります。

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