「インボイスの登録申請は今週中に」という方は、早めに済ませておきましょう。9月30日間際はちょっと不安です。また、来年以降に登録申請するなら、一つ注意しておきたいことがあります。今回、インボイス登録で免税事業者から課税事業者になる個人事業主向けに解説します。
この記事の目次
【登場人物】
よっちゃん(以下「よ」):まゆこの夫。行政書士。仕事はできるが税金はくわしくない。特技は料理と釣り。夢は釣り三昧の日々。
まゆこ(以下「ま」):税理士・税務ライター。「こむずかしい税金をいかに分かりやすく表現するか」ばかり考えている。趣味は、よっちゃんのごはんを食べること。
インボイスの登録申請、9月30日ギリギリは避けた方がいい理由
ま「…案の定、ギリギリ登録になったわね…」
よ「そ、そんなことはないっ。ちょっとがんばったしっ」
ま「まぁ何でもいいや。9月30日前に申請したから10月1日に登録だよ」
よ「今年の9月30日は土曜日でしょ? 10月2日の月曜日が期限にならないの?」
ま「前にも言ったけど、国税通則法第10条第2項が適用されないの」
インボイスの登録には時間がかかる?e-Taxがオススメな2つの理由| KaikeiZine
ま「『一般の人には分かりにくい』って思ったのかな。国税庁が出している『お問合せの多いご質問』の最新版にも書いてあるよ」
「お問合せの多いご質問(令和5年9月15日掲載)|国税庁」を一部加工
※脇のイラスト・吹き出し・コメントは筆者作成
ま「e-Taxでも9月30日登録申請なら10月1日から登録されるんだけど、個人的にはイヤな予感がするのよね」
よ「どんな予感?」
ま「サーバーダウン」
よ「ありそう」
ま「だいぶ登録申請が進んだようだけど、駆け込みも多いんじゃないかな。結果、所得税の確定申告のときみたいに、通信が混雑しそうな気がする」
よ「確かにね。早めにやっておいたほうがよさそう」
ま「あと、9月30日の登録だと、登録番号の通知はどうしても10月1日より後になる。こういうときは、請求書を登録番号ナシで出しておいて、通知が来たら取引先に登録番号の通知が来たことをメールとかで伝えればOKよ」
インボイス制度において特にご留意いただきたい事項|国税庁
※チラシ以外のイラスト・吹き出し・コメントは筆者作成
登録申請は10月1日以降もできる
よ「10月1日からだと登録申請できないの?」
ま「できるよ。フツーに」
よ「そうなんだ」
ま「でも、9月30日まで申請と違う点がいくつかあるの。そこだけ注意ね」
よ「例えば?」
ま「登録する日は申請する日から最低15日過ぎた後にしないといけない」
よ「そうなの?」
ま「正しくは『申請書を提出する日から15日を経過する日以後の日』。数え方はこんな感じ」
インボイス制度において注意すべき事例(2023年7月29日)|国税庁
※脇のイラスト・吹き出し・コメントは筆者作成
よ「10月1日ぴったりに登録申請する場合は…」
ま「10月15日以降に登録日を設定することになる」
よ「2024年1月1日ぴったりに登録したい場合は?」
ま「2023年12月17日までに申請することが必要ね」
簡易課税は「対象としたい課税期間の末日までに届出」
よ「インボイス登録をするってことは、消費税の申告・納税をするってことだよね?簡易課税も使えるようにしておきたいな」
ま「今年の年末までに簡易課税制度選択届出書を出すといいよ」
よ「事前提出なんじゃ…?」
ま「本来はね。でも、2023年10月1日から2029年9月30までの日の属する課税期間中は『登録日の属する課税期間中に届出書を出せば、登録した課税期間から簡易課税を適用できる』となっているの」
消費税の仕入税額控除制度における 適格請求書等保存方式に関するQ&A(令和5年4月改訂)問 10|国税庁
※脇のイラスト・吹き出し・コメントは筆者作成
ま「よっちゃんみたいな個人事業主なら『課税期間=暦年(毎年1月1日から12月31日まで)』なの。だから2024年中に登録するなら2024年の年末まで、2025年中に登録するなら2025年の年末までに簡易課税制度選択届出書を提出すればいいわけ」
よ「ふーん」