税理士試験の受験資格要件

税理士試験には専門的な知識と技能が求められるため、受験資格要件が設けられています。

うえで説明したように、会計に属する科目(簿記論・財務諸表論)については受験資格が撤廃されたものの、税法に属する科目(所得税法、法人税法、相続税法、消費税法又は酒税法、国税徴収法、住民税又は事業税、固定資産税)については、受験資格を満たさないと受験することができません。

税法に属する科目の受験資格要件は、学識、資格、職歴の3つのカテゴリーに分けられ、それぞれが受験者の背景と経験を考慮しています。

学識・資格・職歴の他にも、認定制度を利用することで受験資格が得られることもありますが、ここでは代表的な学識・資格・職歴にもとづく受験資格を紹介します。

税法に属する科目については、学識・資格・職歴・認定といういずれかの受験資格要件を満たさなければなりません。

以下では、それぞれのカテゴリーの受験資格について詳しく述べていきます。

学識にもとづく受験資格

学識に基づく受験資格は、主に教育背景に焦点を当てています。

これには、次のような条件が含まれます。

  • 大学または短大を卒業し、社会科学に属する科目を1科目以上履修した者。
  • 大学3年次以上で、社会科学に属する科目を1科目以上含む62単位以上を取得した者。
  • 一定の専修学校の専門課程を修了し、社会科学に属する科目を1科目以上履修した者。
  • 司法試験に合格した者。
  • 公認会計士試験の短答式試験に合格した者(平成18年度以降の合格者に限る)。

これらの条件は、受験者が税務に関連する十分な教育的背景を持っていることを確認するために設けられています。

【引用】税理士の資格取得|日本税理士会連合会

学識にもとづく受験資格を満たしているかどうかは、提出書類をもって判断されます。

【引用】 受験資格について|国税庁

資格にもとづく受験資格

資格にもとづく受験資格とは、特定の資格を有している場合に認められる受験資格です。

以下のような資格を有している場合には、税法に属する科目を受験できます。

  • 日商簿記検定1級合格者
  • 全経簿記検定上級合格者(昭和58年度以降の合格者に限られます。)

資格にもとづく受験資格を満たしているかどうかも、提出書類をもって判断されます。

【引用】 税理士の資格取得|日本税理士会連合会

職歴にもとづく受験資格

職歴に基づく受験資格は、実務経験を重視しています。

以下の実務経験が要件として設定されています。

  • 法人または事業を行う個人の会計に関する事務に2年以上従事した者。
  • 銀行、信託会社、保険会社等において、資金の貸付、運用に関する事務に2年以上従事した者。
  • 税理士、弁護士、公認会計士等の業務の補助事務に2年以上従事した者。

これらの要件は、受験者が実際の職場環境での経験を持ち、税理士として必要なスキルセットを身につけていることを保証するためにあります。

職歴にもとづく受験資格を満たしているかどうかも、提出書類をもって判断されます。

【引用】税理士の資格取得|日本税理士会連合会

総じて、税理士試験の受験資格要件は、税理士として高い専門性と実務能力を保持することを確実にするために設けられているものです。

それぞれのカテゴリーは異なる側面の能力や経験を評価し、全体として、税理士試験の受験者が必要な知識、スキル、経験を持つことを確認するための重要なフレームワークを提供しています。

まとめ

令和4年の税法改正により、税理士試験の受験資格要件が大幅に見直されました。

特に、会計学科目の要件撤廃と税法科目の要件緩和が実施され、多様な背景を持つ人材が業界に参入しやすくなりました。

令和4年の税制改正は、専門性を保ちつつより広い知識と経験を持つ税理士の育成を目的としたものです。

令和5年度の税理士試験からは、この大幅に緩和された受験資格要件によって受験が可能となります。

税理士試験の門戸が大幅に広がったので、ぜひ受験を検討してみてください。


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