財務省の地下には、徹夜仕事をした職員のために仮眠がとれる休憩室がある。同じフロアにはシャワーも完備しており、朝方にタクシーで帰宅するよりここに泊まってしまった方が身体はラクだ。旧大蔵省時代から予算編成など忙殺期に利用されるこの施設を、職員たちは自虐的に「ホテル大蔵」と呼んでいる。

「今夜はホテルオークラに泊まるからおいでよ」。
財務省職員からこう言われたことがある。
決して〝夜のお誘い〟があったわけではない。むしろその逆。

財務省の地下には、徹夜仕事をした職員のために仮眠がとれる休憩室がある。
同じフロアにはシャワーも完備しており、朝方にタクシーで帰宅するよりここに泊まってしまった方が身体はラクだ。
旧大蔵省時代から予算編成など忙殺期に利用されるこの施設を、職員たちは自虐的に「ホテル大蔵」と呼んでいる。地下の薄暗い廊下の先にあるので別名は「霊安室」。どちらかというと後者の方がしっくりくる陰鬱な佇まいだ。

しつこく取材する私が、「今夜は何時頃までお仕事されますか?その時間まで待っています」とストーカーさながらにまとわりついた時に言われたのが冒頭のセリフだ。
つまり翻訳すると「今夜は徹夜仕事だから庁舎内の仮眠室に泊まる。来れるものなら来てみやがれ」と言われたというわけ。
結局その日はあきらめて家に帰ったっけ。

長時間労働が社会問題となり「時短、時短」と叫ばれるようになって久しいが、
不夜城・財務省の灯りは依然として深夜までついているそう。
国会予算審議が大詰めを迎え、「ホテルオークラ」はさぞや大盛況なことだろう。