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高市総務相も是正に積極姿勢 いよいよ規制が掛かる?! 「ふるさと納税」の返戻金

ふるさと納税の推移

こんな物も返礼品に

一方、返礼品については、制度の趣旨を考えれば本来自治体にとって寄附してもらう動機づけになるほか、地元のPRにもつながることから地元の肉や魚などの特産物が想定されていたが、制度開始から「土地」や「電子マネー」などが登場した。差別化を図ることから選定したのかもしれないが、さすがに総務省からも不適切との指摘を受け早々に中止等になったが、その後もPC(長野県飯山市)、外国産カブトムシ(香川県東かがわ市)、水素燃料車の無料貸し出し(愛知県豊田市)、がんのPET検査(北海道砂川市)や換金性の高い商品券、プリペイドカードなどの高額品のほか、寄附額の7割に相当する返礼品を用意し、発送費等を入れると寄附額とさほど変わらない額となるものもある。そして、最近では、自治体間で「寄附を取るか取られるか」といった、行き過ぎた返礼品合戦の様相を呈し、好きな商品目当てに寄附をするような感じさえ持つ。

総務省は抑制に向け舵取り

返礼品競争となったふるさと納税に対し総務省も数年前から重い腰を上げ、対策に乗り出した。
まず、平成27年1 月23日付事務連絡及び4月1日付総務大臣名による通知(技術的な助言)の2回にわたり、寄附金が経済的利益の無償の供与であることを踏まえ、①返礼品(特産物)の送付が対価の提供との誤解を招きかねないような返礼品の価格・価格割合となどの表示により寄附の募集をする行為を行わない、②換金性の高いプリペイドカードや高額または寄附額に対し返礼割合の高い返戻金の送付を行わないよう都道府県に要請を行った。
しかし、もともと返礼品は、ふるさと納税制度自体に組み込まれているわけではなく、あくまで自治体独自の“寄附者へのお礼”であり、また自治体の自主性を擁護する立場である総務省がこれについて指導を行う立場ではないとして、「聖域化」している。このような経緯もあり、この要請ではさほどの効果が見られず、新たに寄附者が受け取った金券等をネットオークション等に売出すケースも問題視されるようになったため、総務省は28年4月1 日に再び各都道府県知事等に対し大臣名で、ふるさと納税の趣旨に反するような返礼品の例として前年掲げた「プリペイドカード等」から「金銭類似性の高いもの(プリペイドカード、商品券、電子マネー・ポイ ント・マイル、通信料金等)」と具体的に表記するとともに、新たに「資産性の高いもの(電気・電子機器、 貴金属、ゴルフ用品、自転車等)」を追加したほか、個別自治体の返礼品の見直しについて、担当部局が都道府県と連携しながら働きかけを始めた。
2年続けての要請を受けて、さらにいくつかの自治体が返礼品の中止・見直しを行い千葉県勝浦市でも返礼品としてきた商品券を今年2月で中止することを決めるなどの対応も見られるが、昨年総務省が8月に公表した「ふるさと納税に関する自治体へのアンケート結果」では、通知に沿った返礼品の送付を行っており、見直しをする必要がないとの考えが8割にも達しており、積極的に返礼品を見直す自治体はまだまだ少ない。

いよいよ返礼品ガイドライン作成か

しかし、ここに来て住民が他の自治体にふるさと納税を行うことによる住民税の税収減も目立ってきて、特に過疎の自治体では住民サービスにも支障が出始めるなど影響が表れていることから、高市大臣は「ふるさと納税制度の意義をしっかりと踏まえて、まずは、自治体が自らの御判断と責任の下で、良識ある対応を行っていくことが重要だ」とした上で、自治体へ行き過ぎた返礼品の自粛をさらに求めるとともに、今後は個別の働きかけを強化することを決めた。また、併せて、返礼品に係る動向を十分注視しながら、自治体からも実情や意見を聞き、あらゆる課題を一度洗い出し、適宜、有識者や自治体の実務者などの意見も参考にしながら、課題を見出してどのように改善できるのかを検討するよう職員に指示。このような動きから「いいよ、返礼品についてのガイドラインの作成もあるでは?」(自治体職員)との見方も出ている。
昨年あたりから、自治体の中からも批判的な意見も出ていることから、豪華な返礼品もあとわずかとなるかもしれない。

著者: イーター侍

税金ライター/元税金専門誌編集者

四半世紀以上、税金専門誌の編集者として国税庁、国税局、税務署、会計事務所に出入りする。数年前に独立した後、編集者時代に築いた人脈をいかし、ネットワークビジネスを手がける。その傍ら、趣味と副業を兼ねて税務関係ニュースを追いかける“中年ライター”だ。

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