積極的な営業・宣伝活動が実を結ぶ
当法人は営業活動に消極的な会計業界の風潮を打ち破り、営業部を設けて積極的にアプローチしてきました。
サービスや会計事務所のブランディング、インターネットによるプロモーションに力を入れてきたことも成果として表れてきています。
ありがたいことに、現在は新規のご依頼や、依頼につながるお問い合わせを毎日いただいている状態です。
いまの時代の営業・宣伝活動は、ひとつのアプローチに注力するのではなく、多角的に展開して相乗効果を創出することが大切です。
それぞれのアプローチの特性を生かしながら訴求することがポイントといえるでしょう。
そうした外部へのアプローチに加え、内部への取り組みも欠かせません。
組織が成長する原動力は何といっても社員をはじめとしたスタッフですので、利益をスタッフに還元することも大切にしています。
当法人は、月々の給与が会計業界では手厚いほうだと自負していますし、賞与で還元するようにもしています。
やはりその方がスタッフのモチベーションにつながります。
CEOとしては、給与面での待遇はもちろんのこと、ワークライフバランスもさらに向上するように努力していかなければなりません。
近江商人の「三方よし」の姿勢を見習い、当法人に関わるすべての人に喜んでもらえるようにするのが使命だと考えています。
地域と会計業界の発展に寄与したい
最後に、当法人の今後の展望をお話しさせていただければと思います。
まずは、会計事務所を法人化した際に掲げた経営方針に沿って、これからも個人事業主や零細企業のかたがたのサポートに注力したいと考えています。
日本の全企業の約80%は零細企業であり、全就業者の約10%は個人事業主です。
経済を支えているのはこうしたかたがたで、個人事業主や零細企業に元気がなければ、日本の経済成長もありません。
そこで着目しているのが、「地方」です。
地方都市に拠点を作り、地域に密着したサービスを提供したいと考えています。
そのためには、地元で活動されている税理士の先生がたや会計事務所との協働が不可欠です。
当法人が構築したビジネスモデルと、地元の会計事務所が築いてきたクライアントとの信頼関係を融合することで、私たちが目指す「一人ひとりの患者さんに寄り添う『かかりつけ医』のような会計事務所」が実現できると確信しています。
地元の会計事務所がITやAIを活用した分業制で会計業務を行うことで、業務のロスや負担を削減し、余剰分を新規獲得やクライアントとのコミュニケーションに費やすことができるようになるわけです。
それは、私たちがスローガンに掲げているサービスのあり方、「Human×DX=コンサルジュ(コンサル×コンシェルジュ)」と合致します。
人とデジタルのそれぞれの強みを掛け合わせることで、会計業務とサービスを大幅にアップデートすることが可能なのです。
こうした展開を、地方の会計事務所との提携やM&Aによって進めていきたいと考えています。
地方の会計事務所との協働は新たな雇用の創出、あるいは事業承継にもつながります。
雇用の創出は税理士だけでなく、さまざまな工程の業務を担うスタッフにも該当します。
子育て中のかたはパートとして、さらにはセカンドキャリアや副職としてなど、いろいろな働き方ができるように間口を広げていきたい。
こうした試みは、地盤である京都ですでに力を入れて取り組んでいます。
その一環として、最近では外国人の採用を行いました。
ミャンマーの方と面接をさせてもらったところ、仕事に対する熱意に感銘を受けて、京都の事務所に勤務していただくことになりました。
文化も価値観も異なるため、試行錯誤になるとは思いますが、今後も外国人を積極的に採用していきたいですね。
前回紹介した新卒採用と人財作成の取り組みも、5年先には形として現れてくると期待しています。
私たちにできることは限られているかもしれませんが、事業を通じて地域や会計業界の発展に寄与できれば、これほどうれしいことはありません。
地域や会計業界の発展への寄与が実現できるよう、謙虚な姿勢を忘れず努力していきたいと思います。
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