選択と集中の“本質”を体系化 ── 利創経営7ステップ

“選択と集中”は経営において使い古された言葉です。
しかし ── “何に”選択と集中すべきかを、構造的に語れる人はほとんどいません。

また皆さんもご存じの通り、成果を出すうえで本来大切なのは“ゴールから逆算して考える”ことです。

成果創出プロセスゴール逆算の図

これは誰もが一度は聞いたことのある基本の考え方だと思いますが、現実はこの通りに進まないケースが大半です。
その理由を多くの中小企業の支援から探っていくと、成果実現のプロセスにおいて“7つの壁”があることに気づきました。

成果創出プロセスあるあるつまづポイントの図

利創経営7ステップは、この“7つの壁”を乗り越えるために各フェーズで何をどう選び、どこに集中すべきかを明示するメソッドです。
たとえば ──

  • 「組織がまとまらない」という課題には、STEP1~2で“正しい目標設定”と“共通認識”を整えます
  • 「打ち手が散漫で成果が出ない」という課題には、STEP4で“打ち手対象”の優先順位を明確化します
  • 「成果が出ても継続しない」という課題には、STEP6で“しつこく続ける仕組み”を整備します

成果創出プロセス利創経営7ステップの図

打ち手優先で取り組みはじめてしまうと、“正しいか、正しくないか”ではなく、“やりたいか、やりたくないか”という感情論が先行し、社内の反対派や声の大きな人の抵抗を受けることがあります。
そして優しい社長ほど、そうした従業員たちの声に耳を傾けて取り組みをやめたり緩めたりしてしまい、結局多くの人にとっていちばん心地のよい“現状維持”に戻ってしまうこともよくある話です。

難しいのは、成果が出なかったときにこの7つの壁を構造的に捉えられていないと、どこに起因した問題で、どう対処するべきかが見えてきません。
そうすると思いつきレベルの対策になったり、正しいことをしていたのに、取組み自体が誤っていたという結論に至ったりすることもあります。

結果、そこまでがんばってきた社員の皆さんの努力が無駄になるばかりでなく、新たな取り組みの度に「どうせまた同じ結果になるだけだ」と、徐々に気持ちもすり減っていき、人材の流出にもつながりかねません。

成果を出す原則論に当てはめ、そのステップごとの壁を理解し、構造に沿って見ることで、企業ごとの複雑な状況も“整合的な全体像”に変わっていきます。
そしてこの“構造がピタッとハマる瞬間”こそ、多くの経営者や支援者にとって、実行の確信と納得につながる美しい瞬間なのです。

“成果を出す経営”は、選べる。誰でも。

努力は尊いものですし、私もがんばりを否定したいわけではありません。
むしろ、がんばりが成果につながらないことが世の中にはあまりにも多い ── そのことに、私は強い葛藤を感じてきました。
がんばりが“本当に成果につながる対象”に向いているか?
それを問い直すだけで、経営の景色はまったく違ったものになります。

ここで、ひとつ皆さんにも問いかけてみたいのです。
あなたの顧問先では、いま、“やるべきではないこと”に時間や資源を使っていないでしょうか?
逆に、“やるべきこと”は本当に見極められているでしょうか?
今回ご紹介したようなケースは、決して一部の企業に限った話ではありません。
誰もが“選択と集中”の重要性は理解している。
でも、“なにに”を選択し、集中すべきかが曖昧だから成果が遠のく。

AIは、どうすればよいかと問えば解決策のリストは出してくれます。
しかし事業の実態は複数の要素が相互に関係し、かつ時間軸という概念も相まって複雑さを増します。
数字を見てわかることも多いですが、現場の実務とひもづけて成果に変えていくためには、経営を構造的に捉え、課題発見・改善施策を示す必要があります。
それができれば、支援者としての価値が高まることはいうまでもありません。

次回のコラムでは、いまある資源(商品や顧客、取引先)を生かして、“戦略的な選択と集中”を実践する方法や、どのような改善施策をあてていくか ── 私自身の支援現場での実例を交えながら、具体的にお伝えしていく予定です。

 

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