見落としがちな視点(2):“作業価値”から“人間価値”への転換

みんながAIを使う時代になる。
そうなると、単純な作業効率化だけでは差別化にはなりません。
では、何が差になるのか。

ここで重要になるのが、2つ目の視点です。
それは、「仕事の中身を、より価値が高いものに変えればいい」という考え方です。
私はここが非常に重要だと思っています。
例えば、会計人の仕事というと、記帳・入力・チェック・申告・資料作成、こういった“作業”に意識が向きがちです。
もちろん、これらは非常に大切な仕事です。正確性も求められます。

しかし、これからの時代、単純作業だけでは価値が出しづらくなっていくのも事実でしょう。実際、経営者の立場からすると、単純作業に対して高額な報酬を払い続けることは難しくなります。

なぜなら、AIやシステムによって、ある程度代替できるからです。
つまり、これからの会計人には、「なぜ自分に依頼する価値があるのか」を、今まで以上に求められる時代になるということです。

では、何が価値を持つのか。
私は、「人対人の関わり」の価値が、今後ますます上がると思っています。
例えば、社長との関わりです。

経営者が求めているのは「正解」ではなく「伴走者」

中小企業の社長さんは、実は非常に孤独です。
資金繰りの不安。投資判断。採用。銀行対応。社員への伝え方。様々な悩みを抱えています。
そして、その悩みの多くには、“正解”がありません。
AIは、情報を整理してくれるでしょう。答えの候補も出してくれるでしょう。
しかし、「最終的にどの道を選ぶのか」これは、社長自身が決断するしかありません。

そして、そのときに必要なのは、単なる知識ではなく、「一緒に考えてくれる存在」です。
例えば、「今、設備投資をするべきか」「銀行借入を増やすべきか」「新規事業を始めるべきか」こういったテーマは、数字だけでは決まりません。

社長の性格。会社の文化。社員の状況。業界の流れ。銀行との関係性。
様々なものを総合的に見ながら判断する必要があります。
私はこれこそが、これからの会計人に求められる価値だと思っています。

さらに、従業員との関わりも同じです。
例えば、会社が変化するとき、社員にどう説明するのか。どのように不安を取り除くのか。
ここには感情があります。人間関係があります。信頼関係があります。
これはAIだけでは解決できません。

そして、銀行との関わりもそうです。
私は日頃から多くの金融機関とやり取りをしていますが、結局、最後は“人”です。
どれだけ綺麗な資料を作っても、どれだけAIで分析しても、「この会社を応援したい」「この社長なら大丈夫だ」と思ってもらえるかどうか。ここが非常に重要になります。

AI時代は会計人が「本来やりたかった仕事」ができるチャンス

つまり、これからの時代は、“作業価値”は下がる。しかし、“人間価値”は上がる。ということです。
これは会計人にとって、実は大きなチャンスだと私は思っています。
なぜなら、多くの会計人の方々は、本来、単なる作業者になりたかったわけではないからです。

本当は、「もっと経営者の役に立ちたい」「もっと未来の話をしたい」「会社を良くしたい」そう思って、この業界に入った方も多いのではないでしょうか。
だからこそ、AI時代は、単に仕事を奪われる時代ではありません。むしろ、「本来やりたかった仕事に近づける時代」なのかもしれません。

入力作業や単純作業をAIがサポートしてくれるからこそ、人はもっと“人に向き合う仕事”ができるようになる。私はそこに、大きな可能性を感じています。
そして、その中心にある考え方こそが、“社外CFO的視点”です。

単なる数字管理ではなく、未来を考える。
単なる作業支援ではなく、経営者の横に立つ。
単なる処理ではなく、会社の未来に関わる。
AI時代だからこそ、こうした役割の価値は、今後ますます高まっていくでしょう。

次回は、「AIを使って、あなたは何を実現したいのか?」というテーマについて、さらに掘り下げていきたいと思います。

 

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