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女性記者のひとりごと vol.10 国際会議室

困惑しながらも好奇心の方が上回り、内線表で部屋の場所を調べていそいそと指定の部屋に向かう。
重い扉を開けると、件の幹部が大きな円卓の向こうで笑顔で座っていた。

※写真はイメージです

「ごめん、20分後にまた来て」。

ある日、中央省庁の某幹部の取材で約束の時間ピッタリに部屋に着くなりこう言われた。

珍しいことではない。テキトーに時間をつぶして20分後にまた訪ねると、
「ごめん、もう30分待って」。

今日は忙しいんだな、日を改めようかな…などと思いつつ30分後にまた訪ねる。

「ホント申し訳ない。終わったら内線で知らせるから記者クラブで待っててくれる?」。
言われた通りクラブ室で待つこと1時間。

やっと内線電話があり「国際会議室にきて」と言われる。

国際会議室?なんで私が…?
怒られることでもしたかしら…?
だいたい国際会議室ってどこにあるのさ?

いきなりの仰々しい部屋への呼び出しに「?」のオンパレード。

困惑しながらも好奇心の方が上回り、内線表で部屋の場所を調べていそいそと指定の部屋に向かう。
重い扉を開けると、件の幹部が大きな円卓の向こうで笑顔で座っていた。

「今日は何度も来てもらって悪かったね。ここなら邪魔が入らないからゆっくり話ができる。
ささ、どこでも好きなところに座って」。

いつもは強面の幹部がすまなそうに頭を下げる。

そうか、私がゆっくり取材できるようにわざわざ部屋をとってくれたのか——。

それにしても国際会議室とは…。
きっと手頃な会議室が空いてなかったのね。
などと考えながら大きな円卓を挟んで向かい側に座る。遠い…。

それでも世界の要人も招く「国際会議室」での取材はすこぶる心地よく、テンションも上がりっぱなし。

多くの職員から恐れられている「怖い幹部」の思いもよらない気遣いのおかげでその日は存分に取材ができた。

もうずいぶん昔の話になるが、「個室取材」の心地よさに味をしめた私は、
その後も何度か同会議室を利用させてもらった。

本来の使用目的で使われることの少ないその部屋は、隠れ取材の恰好の穴場となった。

著者: 川瀬かおり

記者/税金ライター

社会部を根城とする税金オタクの女性記者。財務省・国税庁を中心に取材活動を展開すること20余年。事件モノを得意とし、裁判所にも日参する。税金ネタをこよなく愛する一方で、税制の隙間や矛盾を見つけては叩きまくるサディスティックな一面も。趣味は夜討ち朝駆けとクラブ通い。

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