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【会計事務所インタビュー】アーティスト・クリエイターやクリエイティブな事業を手掛ける企業の経営を会計・税務を軸にサポート:公認会計士山内真理事務所 山内代表

―「文化・芸術」領域に特化した会計事務所の経営者として、これまで苦労した点があれば教えてください。

山内 あまり苦労を苦労と思わないタイプなのですが、一番の難しさはやはり事業を育てる、そのためにチームを育てることでしょうか。事業の進捗には思いのほか時間がかかります。進捗としてはようやく全体の2割を超えたところというイメージでしょうか。ただ、ときが経過するほどに良くなっていく、あるいは広がっていく、そのプロセスを楽しめるというのは、贅沢な時間の使い方かもしれないなと感じています。長らくこの分野を耕しているという感覚がありますが、必要なインフラを担うべきという社会的使命感もあります。その一方で担い手がもっと増えて、全体として支援の輪が広がっていけば、それはそれでよいのかもしれない、そう考えています。

―芸術家に関与していくなかで一番多い税務・会計問題があれば教えてください。

山内 難しい質問ですね。ジャンルや活動モデル、事業フェーズによっても税務面でケアすべきことは当然に異なります。一例を言えば、作家・漫画家であれば印税収入に伴う所得変動による税額への影響をおさえるために平均課税を使ったり法人化するなど、必要な節税策を適時に提案する、といったことを行っています。

また、クリエイターは国際的に活躍する方が非常に多い職種ですので、複数国で組織を立ち上げたり、国際取引が発生するケースが多くあります。そのため、現地国の専門家と弊所それぞれで税務面のケアを行うこともありますし、租税条約が絡む案件も多く発生します。

また、たとえば非営利法人と営利法人の両方を経営したり、事業の性質に即した事業体を都度スピーディーに設計したいということで、立ち上げ段階から組織デザインや事業モデルの相談をされるケースも多くあります。

プロダクトの製造や卸売、小売といったビジネスだけでなく、プロジェクトベースで企画や制作等を行う事業体も多いので、一つずつ異なるプロジェクトごとに採算をどう設計しコントロールして、全体として黒字を維持していくかなど、管理会計の有効な運用方法や経営改善策を検討したり提案することも多いです。ただ単に利益率が高ければ受注に値するというわけではなく、クライアントはクリエイティビティが最大限発揮される「よい仕事をしたい」と望んでいますから、質的な意義と経済的な貢献度の両面をどうバランス化するかということを一緒に考えるようにしています。

―お客様によってジャンルも多種多様だと思いますが、コミュニケーションをとるときのコツはありますか?

山内 それぞれの創り手や経営者の思考タイプを探りながら、彼らが本当に実現したいことを理解すること、そのうえで会計・財務的視点について丁寧な翻訳を心掛けることだと思います。それから、その事業体が関わっている事業の現場、あるいは創作した作品群などをなるべく自分の目で見て、自分なりに思考して言葉にすることは、コミュニケーションの深度をより深くすると思います。

組織・個人を含む全ての創り手にはインプットがあり、アウトプットがあります。私たちは経済活動の計測を通じてそれらプロセスに介入している立場とも言えますので、財務数値を通じて映し出される世界と自ら五感で感じた世界を繋ぎ合わせて、クライアントの目指すべき方向性になるべく寄り添った課題解決や貢献をしたいと願っています。

―今後の展望を教えてください。

山内 会計の‟測定する部分“はクラウドサービスやAIの進展などによってますます合理化・自動化されていくと思いますから、私たちの役割は測定したものを使ってハンドリングする、クライアントの事業経営により近い距離でできることにシフトしていくでしょう。事業の構想・企画段階から相談される関係になれるかがポイントだと思いますし、それによって結果的に財務・税務面や管理面でも先回りして対策を打つことができます。

弊所の目標としては、引き続き文化・芸術領域で一通りの財務・会計専門サービスを提供できる専門家集団になることを目指します。クライアントの活動はますます国際化するばかりですので、ゆくゆくは国内外で協働・連携できる専門家ネットワークを創りたいですが、それはまだ先の話になりそうです。また、クライアントには各種分野のプロがいますので、会計専門職と顧客という関係性に捉われることなく、協働できるプロジェクトがあればご一緒していきたいと思いますし、従来の会計事務所の枠に捉われることなく、できることを模索していきたいと思っています。


■公認会計士山内真理事務所
http://yamauchicpa.jp/


 

■会計事務所の求人サイト「アカナビ」にも山内先生の記事が掲載されています。
詳細は以下より。

先輩会計人に聞く 働き方の処方箋

著者: KaikeiZine編集部

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