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【CFOインタビュー】株式会社オトバンク 公認会計士・新井成道CFO「企業の成長に貢献する縁の下の力持ち」


■100円の重要性


 

―AGSではどのような業務に従事されていましたか?

新井 まずは、税務からスタートしました。ただ、スタートして早速「税務は向いてないかも」と思うエピソードがありました。お客様の税務申告の際に、経理担当者と100円の修正を入れるかどうかで悩んでいたときに、決算を締める直前だったことや数億円の利益を出している会社だったこともあって、100円の修正は入れずに決算を締めたんです。監査法人に勤めていたころはクライアントの業績によって数百万円単位なら重要性が低いとしてパスしてしまうこともありましたから、「100円くらい」と100円の重要性を甘くみていたんです。その後、社長に呼び出されましてね、「君は100円をどう思っているんだ?100円を大事にできない税理士にはもうお願いできない」と担当を外されそうになりました。当時は本当に重要性が低いと思っていたので、100円をここまで問題視されることがなかなか腑に落ちなくて。謝罪に行った帰りに、当時の上司から「お客様が100円を大事だと思っているならそれを理解できないと税務顧問は務まらないよ」言われて、大いに反省しましたね。入社して早速、税務顧問をする上で何が大切かを学びました。ただ、僕は「お客様への価値の提供の仕方は、100円よりも他にある」と思うタイプだったので、考え方は理解したけれど、自分には向いていないなと思いました。

―そして、事業再生に従事することになったわけですね。

新井 AGSに入社して2年目だったと思いますが、名古屋支社の立ち上げメンバーとして名古屋に赴任しました。そこでは、ある会社の案件を担当することになりました。親子で経営していたその会社は斜陽産業で、今後赤字になることが予想できたので、息子さんへ代替わりするタイミングが変革するにもいいタイミングだと当社に白羽の矢が立ったのです。それからは、社長である息子さんと一対一で「この会社をどうしていくか」について話合いました。朝から晩まであれこれと考えて、社長と私の中では完璧な事業計画書が完成しました。それを会長に持っていくと「お前ら、立て」と、説教が始まったのです。……本当に僕は怒られてばかりですね(笑)。


■この事業計画書には魂がない


 

―何を指摘されたのですか?

新井 「君は会社の歴史を理解したのか?創業からこれまで、どんなことがあったのか、われわれが倒産危機をどう乗り越え、誰に助けてもらったのかを知っているかな?うちの●●さんはいつ入社してどんなことをやってきた人か分かるかね?……それが分からない君が作ったこれは、上面だけの事業計画書だ。この通りに進めれば数字は出るかもしれないが、従業員は誰もついてこないよ。数年は持つかもしれないがその先は続かない。魂のない事業計画書だ」と。

この会長の言葉で「会社のこれまでの過程を加味して落とし込まない事業計画書は意味がないんだ」とハッとしました。先頭に立つのは社長ですが、実行するのは従業員です。教科書通りに事業計画を作るなら、外部環境分析をして、内部環境分析をして現状分析したあとに、将来計画を作ればいい。でも、実行する従業員が納得してくれない事業計画書は無意味です。「納得してもらうためには、従業員一人一人に話を聞かなければ」そう思い、それからは従業員一人ひとりにヒアリングしました。この経験から、事業計画を作る大切さを改めて実感しました。

―従業員は何名ほどいらっしゃったのですか?

新井 30人くらいでした。営業会議にも出て、一人一人に話を聞きました。そこから作り直した事業計画書にやっと会長からオーケーが出たときはうれしかったですね。社員に向けて事業計画を発表して欲しいとオファーがあったのですが、日程が1月4日の8時からでした。三が日はさすがに休みたかったなと思いながらも(笑)、本当にうれしかったです。新日本時代に「お客様のために」という信念をたたき込まれたと思っていましたが、まだまだ浅かったなと思い知らされる一件でした。


■縁の下の力持ちになりたい


 

―その後、事業会社に転職したきっかけを教えてください。

新井 コンサルタントは家庭教師のようなもので、その役割は事業を軌道に乗せたら終わってしまいます。コンサルタントとして関与するなら、売上予算を達成するためにも10社程度は顧問先に抱えないといけませんから、一社に注げる力も10分の1になる。僕としては「最後まで付き合いたいのに」という思いと「自分の力を1社に100%注ぎたい」と思っていたこともあって、事業会社への転職を決意しました。公認会計士のジェネラリストを目指していたので「監査法人」「コンサルティング」と経験したら、残りは「事業会社」だけだったというのもあります。

―最終的にオトバンクに決めたのはなぜですか?

新井 今回は、事業会社のCFOに絞って転職活動をしていました。オトバンクに決めた理由は社長の久保田と話したときに「この人は魅力があるな。ついていきたいな」と純粋に思えたからです。ほかにも面接を受けていましたし、おもしろいビジネスモデルの事業もたくさんありましたが、一番初めに面接を受けたオトバンクに決めました。久保田のようなすごいCEOなら、CFOとしてやるべきことは山のようにあるだろうと思えたのです。学生時代から副委員長とか副部長タイプだったので、CFOとしてCEOを支える役割が僕には合っているとも思っていました。

―オトバンクで働いてみていかがですか?

新井 当社は、オーディオブック配信サービス「FeBe」を提供しています。オーディオブックとは、本を声優さんなどに読み上げていただき、音声化した「聞く本」のこと。「FeBe」では、ビジネス書や自己啓発本をはじめ、語学・資格・小説・ラジオドラマ・講演会など、さまざまなジャンルの音声コンテンツ約2万作品を配信しています。コンテンツ数とユーザー数では当社が日本一です。ここでの一番の責務はオーディオブックの市場規模を拡大すること。そして、オーディオブックの認知を広げることです。今はCFOとして株主対応や取締役会対応、銀行からの資金調達、事業計画の策定などはもちろん行っていますし、それ以外では、備品管理の仕組みづくりやオトバンク独自の給与体系・人事評価制度についても考えているところです。部署間の横断的なつながりを濃くしたいと思っているので、「つなぎ役」としての役割も意識しています。CTOもいろいろなことに気付くタイプの人間なので、「何か問題が起こりそうだな」というときは、ケアをしてくれています。彼と被らないところで従業員のケアをすることも仕事のひとつだと捉えています。「財務責任者」というと堅いイメージですが、要はCEOとCTOがやれない仕事を担うのがCFOの役割だと考えています。

―CFOを目指している公認会計士に向けてメッセージをお願いします。

新井 CFOを目指すならマインドリセットが必要だと思いますね。「監査法人」「コンサルティング会社」「事業会社」とそれぞれ求められる役割が異なるため、事業会社にとって必要なマインドにセットできないとCFOは務まらないかと。それは冒頭でお話しした「お客様のためにどこまでできるか」に尽きます。事業会社の場合は社外のお客様に加えて社内の従業員もお客様になります。「お客様にとって有益だからこう進めていく」という考え方にシフトできないと、上位層での転職は難しいのではないかと思います。


株式会社オトバンク
取締役 新井成道 (Narumichi Arai)


 

最高財務責任者(CFO)。2003年に大手
監査法人の新日本有限責任監査法人に入
所し主に国内上場会社の監査業務に従事。
その後、2009年に会計コンサルティング
会社に入社し、IPO、企業再生、M&A業務
に従事。2017年2月1日からコーポレー
ト本部の部長として入社し、同月の株主
総会にて取締役に就任。公認会計士。

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■オトバンク株式会社
http://www.otobank.co.jp/
■オーディオブック配信サービス「FeBe」
https://www.febe.jp/

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■インタビュー
税理士・公認会計士の転職支援会社
レックスアドバイザーズ
https://www.career-adv.jp/

著者: KaikeiZine編集部

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