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女性記者のひとりごと vol.17 住宅ローン控除

住宅ローン控除は、庶民のマイホーム取得を税制面からフォローするため、
金利負担を軽減するという趣旨で作られた制度だ。

昔、金融商品の取材をしている中で、ある住宅ローン商品の存在を知った。
高額なローンを組んでも、その銀行の普通預金に残高があれば、
その部分にはローンの金利が付かないのだという。

もし、住宅ローンと同額の預金残高があれば、金利負担はゼロということになる。
しかも「住宅ローン控除」は普通に適用できるという。

住宅ローン控除は、庶民のマイホーム取得を税制面からフォローするため、
金利負担を軽減するという趣旨で作られた制度だ。

「金利を払わないのに、住宅ローン控除が適用できるんですか?」

銀行の担当者に詰め寄ると、我が意を得たりといった表情。
「そうなんです。大きな声では言えませんが、実はそれがウリでして…」

オイシすぎる。怪しい…。

そこで国税庁の旧知の職員に聞いてみた。
問題の住宅ローン商品のパンフレットを見せつつ
金利負担が生じていなくても住宅ローン控除が適用できるのか、と。

「できるよ」

即答する国税職員。

適用要件に「利子を負担していること」という項目がないからだという。
なるほど、確かにない。

住宅ローン控除の税額控除の対象となるのは
「年末借入残高の○○%」であって、「既払い利子の○○%」ではない。
金利を払わなくていい上、住宅ローン控除で税金が戻ってくる。

こんなオイシイ話があるなんて!

その部分を詳しく記事にしたいと思い、広報に取材を申し込んだところ
「その話は絶対に書かないでください」とのこと。

いい宣伝になりますよ、とかなりしつこく申し込んでもダメだった。
どうしてだろう…。

そうか、認可した金融庁はこの重大な事実に気づかなかったのではないか。

このウマ味が一般に広く知られてしまうと、認可が取り消されてしまうかもしれない。または金融庁も知っていて目をつぶっているだけなのかも。

それがマスコミ報道で表沙汰になると、動かざるを得なくなるのかな——。

アレコレと思いをめぐらせ、結局、記事にはしなかった。
数年後、自分でマイホームを購入する際に
迷わずこの住宅ローンを選択したのは言うまでもない。

著者: 川瀬かおり

記者/税金ライター

社会部を根城とする税金オタクの女性記者。財務省・国税庁を中心に取材活動を展開すること20余年。事件モノを得意とし、裁判所にも日参する。税金ネタをこよなく愛する一方で、税制の隙間や矛盾を見つけては叩きまくるサディスティックな一面も。趣味は夜討ち朝駆けとクラブ通い。

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