住宅ローン控除は、庶民のマイホーム取得を税制面からフォローするため、
金利負担を軽減するという趣旨で作られた制度だ。
昔、金融商品の取材をしている中で、ある住宅ローン商品の存在を知った。
高額なローンを組んでも、その銀行の普通預金に残高があれば、
その部分にはローンの金利が付かないのだという。
もし、住宅ローンと同額の預金残高があれば、金利負担はゼロということになる。
しかも「住宅ローン控除」は普通に適用できるという。
住宅ローン控除は、庶民のマイホーム取得を税制面からフォローするため、
金利負担を軽減するという趣旨で作られた制度だ。
「金利を払わないのに、住宅ローン控除が適用できるんですか?」
銀行の担当者に詰め寄ると、我が意を得たりといった表情。
「そうなんです。大きな声では言えませんが、実はそれがウリでして…」
オイシすぎる。怪しい…。
そこで国税庁の旧知の職員に聞いてみた。
問題の住宅ローン商品のパンフレットを見せつつ
金利負担が生じていなくても住宅ローン控除が適用できるのか、と。
「できるよ」
即答する国税職員。
適用要件に「利子を負担していること」という項目がないからだという。
なるほど、確かにない。
住宅ローン控除の税額控除の対象となるのは
「年末借入残高の○○%」であって、「既払い利子の○○%」ではない。
金利を払わなくていい上、住宅ローン控除で税金が戻ってくる。
こんなオイシイ話があるなんて!
その部分を詳しく記事にしたいと思い、広報に取材を申し込んだところ
「その話は絶対に書かないでください」とのこと。
いい宣伝になりますよ、とかなりしつこく申し込んでもダメだった。
どうしてだろう…。
そうか、認可した金融庁はこの重大な事実に気づかなかったのではないか。
このウマ味が一般に広く知られてしまうと、認可が取り消されてしまうかもしれない。または金融庁も知っていて目をつぶっているだけなのかも。
それがマスコミ報道で表沙汰になると、動かざるを得なくなるのかな——。
アレコレと思いをめぐらせ、結局、記事にはしなかった。
数年後、自分でマイホームを購入する際に
迷わずこの住宅ローンを選択したのは言うまでもない。